月見マフィンを頬張りながら、

今朝ずっと心の中を跳ねていた
兎の余韻に浸っていた。

思っていたより、お腹にどーんとは来ない。

少し硬めのマフィン。
ハンバーグパテ。
月見の卵。
ベーコン。
そこへソースが絡む。

ひとつひとつの味が口の中で出逢って、
なかなかいい。

「月見マフィン、いいじゃない」

明日の朝もこれにしようかな。

そんな呑気なことを考えていた私だったが、

朝の支度がひと段落したところで、
突然ある重要任務を思い出した。

お土産である。

家族から頼まれていた、柿の種のコンソメ味。

前回持って帰ったら、
「これ、おいしい」と言いながら、
小袋を取り出してポリポリ。

実は私も好きで、
横浜では一日一袋と決めていた。
……まあ、ときどき二袋になったけれど。

ならば今回も買って帰らねば。
雨は降っている。
しかし、
そんなことを言っている場合ではない。

柿ピー捜索隊、出動。

わざわざ
一番近いドラッグストアを通り越し、
前回買ったお店まで歩いた

。目指すは、お菓子売り場。

あった!……いや。一袋しかない。

ええっ。

ここまで来たのに?

棚をもう一度見る。

右を見る。

左を見る。

ない。

念のため、お店の方に聞いてみた。
「これ、もうありませんか?」
返ってきた言葉は無情だった。
「もう入ってこないと思います」

なんと。

そうだった。

期間限定。

ここでようやく、
その四文字の重みを思い知る。

一袋しかない。

私も食べたい。

ものすごく食べたい。

でもこれは家族に頼まれたもの。
しばし金色の袋を見つめ――救出。

本日の戦果、一袋。

私は我慢する。
……たぶん。
でも、あと三袋くらい欲しい。

明日は近くのドラッグストアを覗いてみよう。

伊勢佐木モールには、
お菓子ばかり並んだお店もあったはず。
大きなスーパーという手もある。

こうなったら捜索範囲を広げるしかない。

なぜそこまでして探すのか。

今朝、家族から炊きたての
松茸ご飯の写真が届いた。

横浜へ来るたび、
私のために炊き込みご飯や混ぜご飯を
一食分ずつ冷凍してくれる。

「あなたの作るご飯の
おにぎりが一番おいしいよ」
そう送ったら、
「愛情たっぷりだからね」と返ってきた。

だから私も返したい。

大げさなものでなくていい。

おいしかったと言ったシュウマイ。
気に入ったと言った柿ピー。
そんな小さなものを抱えて帰ることが、
私なりの「愛情たっぷり」なのだと思う。

だから――柿ピー捜索隊は、明日も行く。

雨にも負けず。
期間限定にも負けず。

目標、あと三袋。

さて。

今日救出した貴重な一袋は、
帰る日まで無事でいられるだろうか。
最大の敵は、おそらく――私である。

ポリポリしたい衝動を抑えながら、
そっと袋をしまった。

明日へ続く。

柿ピー捜索隊、一袋救出成功。


雨を行く
金色ひとつ
手に抱き
待つ人想えば
足取り軽し

— Morimura