水の流れる音が好きだ。
さらさら。
さらさら。
川辺に立ってその音を聞いていると、
不思議なくらい心が落ち着いていく。
胸の中に引っかかっていたもの。
答えの出ないこと。
考えても仕方がないのに、
何度も考えてしまうこと。
そんな心のモヤモヤを、
水がひとつずつ拾って、
そのままどこか遠くへ
運んでくれるような気がする。
水は止まらない。
石があれば、その脇を抜ける。
曲がったところでは、自分も曲がる。
高低差があれば、形を変えて流れ落ちる。
それでも、また先へ行く。
そんな音を聞いていると、
私はいつも、
美空ひばりさんの『川の流れのように』
を思い出す。
人生だって、きっと似ている。
いつも真っ直ぐには進めない。
思い描いた通りにならないこともある。
曲がったり、
遠回りしたり、
ときには思いもよらない方向へ
流されたりする。
それでもいいのかもしれない。
私は時々、
何でも自分でなんとかしようとする。
なんとかしなくちゃ。
どうにかしなくちゃ。
そう思えば思うほど、
自分で自分を追い詰めてしまう。
けれど、水の音を聞いていると、
そんなに力を入れなくてもいいよ。
そう言われているような気がする。
流れに任せてみよう。
前を向いて歩いてさえいれば、
きっとなんとかなる。
もしかしたら、
自分では思いもしなかったところから、
ふっと手が差し伸べられるかもしれない。
そんな都合のいいことまで考えてしまう。
でも、それでいい。
未来なんて、
まだ流れてきていないのだから。
鳥の声が聞こえる。
また水が流れる。
さらさら。
さらさら。
そして少し離れたところから、カコン。
ししおどしの音がひとつ響く。
その一音で、
胸の中にあった何かまで、
すとんと落ちた気がした。
よし。
また歩こう。
全部を自分の力で動かそうとしなくていい。
歩いて、
流れて、
ときには誰かの手を借りながら。
今日も私は、私の川をゆけばいい。
水音に
心あずけて
流したら
また歩き出す
私の岸辺
— Morimura
音の小径|水音、心をほどく✨
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