今日は、暇になりそうだった。
台風の接近もあって、
いつもより静かな時間が流れていく。
こんな日は、睡眠貯金でもしておけばいい。
そう思っていた。
けれど私は、何もしない時間を前にすると、
どうもじっとしていられない。
何か書けることはないかな。
そんな何気ないひと言から始まった。
そのときは、本当に何もなかった。
書きたい出来事があったわけでもない。
心を大きく揺らす
何かが起こったわけでもない。
ただ、ぽっかりと空いた時間があった。
ひとつの余白だった。
けれど、その余白にひとつ言葉を置いてみた。
すると、不思議なことに径が現れた。
その径を歩いてみると、
水の流れる音が聞こえてきた。
さらさらと流れる水に
心を預けているうちに、
胸の中にあったものまで
一緒に流れていくような気がした。
そして、また歩こうと思った。
今度は、その先に白が見えた。
まだ何色にも染まっていない白。
何も描かれていないからこそ、
そこには何だって描ける。
そう思ったら、またワクワクしてきた。
群青を置こうか。
朱を置こうか。
ターコイズもいい。
それとも、もう少し白のまま眺めていようか。
そうして私は気づいた。
何もないと思っていたところには、
本当は何もなかったのではない。
まだ言葉になっていなかっただけ。
まだ音として聞こえていなかっただけ。
まだ色がついていなかっただけ。
そこには最初から、
いくつもの「これから」が
眠っていたのかもしれない。
暇だと思っていた今日。
その暇が、私に余白をくれた。
余白から径が生まれた。
径の途中で音を拾い、
その先で色を見つけた。
何もなかったはずの一日が、
いつの間にか私の好きなもので
いっぱいになっていた。
言葉を置いた。
音を置いた。
色を置いた。
そして、その一つひとつを拾いながら、
私はまた自分の世界をつくっていた。
そう考えると――
何もない時間を、
急いで怖がらなくてもいいのかもしれない。
何もないからこそ、
まだ何にでもなれる。
何も決まっていないからこそ、
好きな径を選べる。
何も描かれていないからこそ、
自分の色で描き始められる。
「何もない」って、
案外、寂しい言葉ではないのね。
むしろそれは、
これから何かが生まれるために、
そっと空けておいてくれた場所。
今日、暇だったからこそ見つけた。
何もない、という贈りもの。
さて。
次は、この余白に何を置こう。
そう考えただけで、
また少しワクワクしている私がいる。
何もない
そこにひとつの
径生まれ
音から色へ
今日を描きゆく
— Morimura
何もない、という贈りもの✨
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