青い空、白い雲、
そして眩しいくらいの太陽。

まるで小さな子どもが、
白い画用紙いっぱいに水色を塗り、
ところどころ白を残して雲にして、
最後に大きな太陽を描いたような空だった。

こんなにも澄み切った空から、
燦々と光が降り注ぐのは何日ぶりだろう。
横浜では、
ずっと雨か曇りだったような気がする。

今日は一日、晴れ。
そして夜には月が出るらしい。
もしかしたら今夜は、
久しぶりに美しい月を
見上げられるかもしれない。

そんなことを思いながら歩いていると、
眩しい太陽の向こうから、
見覚えのある人影がこちらへ近づいてきた。

逆光で顔はまだよく見えない。
でも、私にはわかった。

家族だ。

私の家族が、迎えに来てくれた。

「おかえり」
その声と一緒に見えたのは、
こぼれそうなほどの笑顔だった。

嬉しい。

その気持ちを隠すことなく、
顔いっぱいに浮かべて迎えてくれている。
その笑顔が、太陽よりも眩しく魅えた。
そしてきっと、
その笑顔を見ていた私も笑っていた。

ひとりの笑顔が、もうひとりの笑顔を生む。

そのとき、
ふっと「人」という文字を思った。
一本だけでは立てない二つの線が、
互いに寄り添い、
支え合って「人」になる。

そしてもうひとつ。
今朝まで考えていた「紋」という文字が、
また心に浮かんだ。

離れていても、心はつながっている。
離れている時間にも、
それぞれの日々があり、
それぞれの思いがある。

その小さな思いが幾重にも重なって、
いつしか目には見えない
心模様を描いていたのかもしれない。
それが私たちの「紋」

遠く離れていても消えず、
今日ここで再び重なった。

帰ってきた。

家に、というだけではない。
私の心の寄り所へ、帰ってきた。
眠たかったことさえ、
いつの間にか忘れていた。

そのまま朝マックへ向かった。
私はいつもの朝マック。
家族はマフィンとハッシュポテトのセット。
どうやら、
このハッシュポテトを
楽しみにしていたらしい。

そして、
逢えなかった間の話が次々と始まった。
台風のこと。
新しい料理に挑戦したこと。
私がいない間に、
こんなことをした。
あんなこともした。
ひとつ、またひとつ。

私は、
「そう」
「よかったね」
「すごいね」と頷きながら聞いていた。

話す顔は、とても明るかった。
嬉しそうだった。
そんな顔を見ていることが、
私はただ嬉しかった。

可愛いな。
そう、心から思った。
そして——守ってあげたいな、と思った。

離れている間、
きっと自分なりに
毎日を過ごしていたのだろう。

だから今日は、
何か特別なことをしなくてもいい。
今日と明日は、家族孝行の日にしよう。

一緒に食べて、話して、笑って。
離れていた時間に描かれた二つの心模様を、
もう一度ゆっくり重ねていこう。

帰る場所とは、
建物のことではないのかもしれない。

「おかえり」と笑ってくれる人がいる場所。
そこへ帰ったとき、
人はようやく、ただいま。
と、心まで帰ってこられるのだと思う。

陽の向こう
こぼれる笑みに
ただいまと
ふたつの心
ひとつ紋描く

— Morimura