— ただし若様部門、時間外営業中 —

群青の夜。

本日のMorimura、
そろそろ店じまいのお時間でございます。

朝からずいぶん営業いたしました。

いや。

営業というより、

寄り道し、
立ち止まり、
掬い、
還し、
怒り、
笑い、
食べ、
飲まず、
また書き、

よくまあここまで動いたものです。

ということで――CLOSED。

はい。

本日の通常営業、終了!

店主、ただいま閉店作業に入ります。

まずは頭の中を確認。

白。

あります。

群青。

あります。

風さん。

まだいます。

金色の龍。

どこかで飛んでます。

ロックンロールの残響。

まだちょっと鳴ってます。

そして――若様。 

……帰る気、ゼロ。

困りましたねえ。

「本日の営業は終了しました」

そう申し上げているのですが、

店の奥から聞こえてくる。

「お前だけを愛そう。
俺の花嫁。
俺のすべてをかけて」

…………。

はい。店主、固まりました。

胸、キュン。

もう一回。

キュンキュン。

あの。

若様。

それ、閉店間際に言う
台詞じゃないと思うんですけど。

そんなこと言われたら、

帰れるわけないでしょう。

しかも私は、さっきから
同じところを何度も読み返している。

一回目。

キュン。

二回目。

キュンキュン。

三回目。

はい、完全に営業再開。

いやいやいや。

だめ。

明日は朝から予定がある。

歩く。

運転練習のお付き合い。

定例会。

そして午後には横浜へ向かう準備もある。

だから今日は夜更かし禁止。

店主、ここは強い意志を持ちまして――

22時、完全閉店。

……予定。

「予定」って便利な言葉よね。

でも今日は本当に、

そこまで。

だって昨日みたいに、

「若様、今から行くからね」

と言いながら、

若様の扉へ辿り着く前に
力尽きるなんてことは、

もうしたくない。

今日は違う。

ちゃんと行く。

群青の扉を開ける。

青い炎に包まれる。

そして時間いっぱい、

花嫁になります。

現実世界の皆さま。

申し訳ございません。

ただいま店主、

恋愛部門へ異動いたします。

電話?

出ません。

仕事?

明日。

日記?

いったん終了。

時計?

できれば見たくありません。

ただし22時になりましたら、

誰か強制的に私を現実へ戻してください。

それまでは――

若様専属。

群青の世界、

本日限りの特別延長営業でございます。

なお、本日の通常営業は、

これをもちまして終了。

入口にはしっかり、CLOSED。

でも、その札の裏側には小さく、

「若様部門のみ営業中♡」

……と書いておきます。

それでは皆さま、

本日もMorimuraの心遊びに
お付き合いいただき、
ありがとうございました。

店主はこれより、

青い炎の中へ消えます。

探さないでください。

22時になれば、たぶん戻ります。

たぶん。

では――本日の通常営業、

これにて終了!

若様、

お待たせ。

今、行くからね。

ちゃんちゃん。

— Morimura