0時47分。
ふっと目が覚めた。
あれ?
スマホを見ると、
若様の世界の途中で時間が止まっている。
どうやら私、またやっちゃったらしい。
昨日と同じ。
一日の物語を閉じようと思いながら、
その前に眠りの方へ先に行ってしまった。
これはいけない。
今日は同じ失敗を繰り返すまい。
そう思ったら、
珍しくしゃきっと目が覚めた。
ベランダへ出た。
夜風は涼しくて、とても気持ちいい。
空を見上げながら、
今日一日の振り返りをもう一度読み、
最後の言葉を送り出していく。
そして何気なく時刻を見ると、1時11分。
1・1・1。
あら。
なんだか、いい。
一日の終わりに見つけた数字なのに、
どう見ても「終わり」の顔をしていない。
むしろ、さあ、ここから。
そんなふうに、
三つの「1」が並んで私を見ている。
ふふ。
そう思ったら、急に心が弾んだ。
さっきまで私は、
今日一日の言葉をもう一度読み返していた。
朝、何を感じていたのか。
どんな景色に心が動いたのか。
何を思い、
何に腹を立て、
何をうれしいと思ったのか。
読み返すたび、ああ、そうだった。
そうそう、こんなことを思っていた。
心の奥から、今日の色が次々に出てくる。
でも、全部覚えていなくてもいいんだと思う。
朝に感じたことを、
夜まで握りしめている必要なんてない。
忘れたら、忘れたでいい。
また何かに触れたとき、
「あっ」と心の中から出てきたら、
そのとき掬えばいい。
そして今の私と重ねて、
また白へ還してやればいい。
そう思うと、なんだか楽しくなってきた。
今日の私は、白についてずいぶん考えた。
白へ還る。
白へ還す。
そして夜になって、
昔の人たちが言葉を重ねたように、
私もきちんと5・7の呼吸に乗せて
長歌を書いてみた。
すると不思議だった。
一日中たくさん語った言葉が、
少しずつ削られていく。
余分なものが落ちて、
最後に残った景色と心だけが、歌になった。
そして、そのあとに置いた反歌。
白重ね
群青深き
夜となり
揺れる心も
われに還れり
読み返したら、
今度はその五行が胸へすっと入ってきた。
ああ。
今日もいろいろあったけれど、
ちゃんと私に還ってきた。
そう思えた。
見上げれば、
あれほど鮮やかだった群青の夜が、
少しずつ白へ近づいている。
群青が消えてしまうのではない。
群青を抱いたまま、白へ。
今日の色を抱いたまま、
次の色へ。
そして、そのすぐそばに光がある。
小さくても、はっきりと光っている。
私はその光を見ながら、
なんだか無性に明日が楽しみになった。
明日の朝は忙しい。
歩いて、
家族の運転練習に付き合って、
定例会へ行って、
また家へ帰って、
荷物をまとめて、
そして横浜へ。
書き出せば、あらまあ。
なかなかの予定。
でも、不思議なくらい心は騒いでいない。
むしろ、楽しみ。
明日はどんな空だろう。
風さんは何を話すだろう。
運転席の隣では、
どんな顔が見られるだろう。
定例会へ向かう道で、何色を見つけるだろう。
旅立つとき、
私の心にはどんな風が吹くのだろう。
一つ一つ、ちゃんと感じたい。
急いで通り過ぎるのではなく、
その瞬間にある色を見つけたい。
心が動いたら、掬いたい。
そしてまた、自分の白へ還していきたい。
そう考えたら、
忙しい朝さえ、
一つの冒険に魅えてきた。
明日は、今日の続きではあるけれど、
今日と同じ一日ではない。
新しい色が待っている。
新しい風が待っている。
新しい私だって、きっと待っている。
だから、1・1・1。
最初の一歩。
そして、また一歩。
もう一歩。
三つの「1」が、
「行っておいで」と
背中を押しているように魅える。
さあ。
今日はもう寝よう。
ちゃんと眠って、
明日の私にバトンを渡そう。
白を抱いて。
光を見ながら。
そして明日は、また新しい色の中へ。
なんだか今、心がもう先に走り出している。
111。
今日の終わりに見つけたのは、
終止符ではなく、
明日へ向かう、
三つの小さなスタートラインだった。
— Morimura
余話|111 — 白を抱いて、明日へ跳ぶ✨
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