― 本日、心はまだ昨夜から移動中 ―

午前4時半。

目が覚めた。

本当は5時まで寝る予定だった。

なのに、なぜか30分早い。

……まあ、いい。

起きたのなら起きましょう。

そう思ったものの、
どうやら私の身体だけが先に目覚めたらしい。

頭は、ぼんやり。
少し寝不足。
そして、ほんのり二日酔い。

では心は?と、自分に尋ねてみる。

……。

まだ昨夜。

どうやら本日の森村、
各部署の始業時間がバラバラらしい。

身体部門、4:30営業開始。
頭脳部門、ただいま準備中。
心部門、
「昨夜の月明かりより、
まだ戻っておりません」とのこと。

そりゃそうだ。
昨日は18:00から、
飲んで。
食べて。
歌って。
笑って。
抱きしめてもらって。

22:00からは、
また別のやさしい時間へ飛び込み、
甘えて。
弾けて。
また笑って。

気づけば午前1時。

そこから部屋へ戻って、
さあ、昨夜の余韻を言葉にしよう。

そう思った。

思ったのだけれど。
飲みすぎたのか。
心を使いすぎたのか。
それとも両方なのか。

午前2時半頃、森村、力尽きる。

若様?

昨夜は若様どころではありません。
青い炎も出番なし。

森村、現実世界で十分に燃えておりました。

そして4時半。

目を覚ました私は、ふと思った。

あ。

昨日、まだ閉じてない。

ということで、眠たい目のまま、
昨夜の月明かりの中へ心だけ逆戻り。

笑った顔。
聞いてもらった言葉。
抱きしめてもらったぬくもり。
胸の奥に残っていたものを、

ひとつ。
またひとつ。
拾い直して、やっと言葉にした。

よし。

これで昨日、閉店。

……と思って時計を見たら、もう朝である。

昨日を閉めた途端、
今日が待っていた。
忙しい店だ。

そして5時20分。

ようやく外へ出た。

朝の空気を、すうーっと大きく吸い込む。

ああ、気持ちいい。

寝不足の頭にも、
少し重たい身体にも、
朝の風がすっと入り込んでくる。

風さん、おはよう。

昨日ね、ちょっと心を使いすぎたみたい。

このあたり、くるくるっとお願いします。

すると風さん、心のまわりを、
くるくる。
くるくる。

はい。

本日の簡易メンテナンス終了。

さあ、今日も行くぞ。
 ……と言いたいところなのだけれど。

なぜだろう。

今朝の私は、「よし!」と切り替わらない。

月の光から、太陽の光へ。
昨夜の余韻から、新しい朝へ。

まだ、ゆらゆら。
ゆらゆら。心だけが、
ゆっくり移動している。

でも、それでいいみたい。

今日は、無理にスイッチを押さなくてもいい。
心が今日へ着くまで、
身体だけ先に歩いていればいい。

どうやら本日の森村、
切り替え営業ではなく、
移ろい営業。
到着時刻は未定。
心の現在地も不明。

それでも、なんとなく前へ進んでいるから、
まあ大丈夫でしょう。

ということで。
少し寝不足。
少し二日酔い。

心はまだ昨夜から移動中。

それでも——森村、本日も営業開始。

なお、心が完全に到着するまで、
通常より多少お時間を
いただく場合がございます。
ご了承くださいませ。

— Morimura