今朝は、なんだか忙しい。
眠ったのか眠っていないのかも
よくわからないまま外へ出て、
いつものように歩き始めた。
雨がぽつりぽつり。
傘は持っていない。
歩くことばかり考えていて、
天気のことなんてすっかり忘れていた。
少し心配になって天気予報を見ると、
ちゃんと雨マークがついている。
あら。
傘を買わないといけないかな。
そう思いながらよく見ると、
「5分後に雨がやむでしょう」と書いてある。
じゃあ今日は、
その言葉を信じてみよう。
ところが5分経ったような気がしても、
雨はまだぽつりぽつり。
まあ、これくらいなら大丈夫。
そうして私は、
結局傘を買わないまま歩き続けた。
今日は10時から美容院。
遅くとも9時45分には部屋を出たい。
だから、
いつものようにベンチへ座り込んで
日記をまとめたり、
あっちへふらふら、
こっちへふらふらしているわけにはいかない。
8時には戻りたいな。
そう思いながら時計を少し気にして歩く。
いつもなら、時間を手放す朝。
でも今日は、ちょっぴり時計を連れて歩く朝。
それでも歩いているうちに、
頭の中はどんどん別のところへ飛んでいった。
お菓子。
料理。
ワイン。
昨日、お客様から教えていただいた
横浜のお店。
そうだ。
せっかくなら帰り道に「かをり」の前を
通ってみよう。
そして、できれば馬車道十番館も
見つけてみたい。
そう思った途端、
いつものウォーキングが、
急に探検へ変わった。
ところが私は、
食べ物のことを考えるのに夢中になりすぎて、
曲がるはずの道を
すっかり通り過ぎてしまった。
あれ?
ここ、どこ?
だいぶ向こうまで来てしまったみたい。
仕方がない。
Uターン。
考え事をしながら歩くと、
こういうことになる。
でも、そこでたまたま目の前に
地下へ降りる階段を見つけた。
そうだ。十番館は
関内駅の9番出口から徒歩1分と
書いてあった。
せっかくだから、
地下へ降りて9番出口を探してみよう。
外では強かった風が、
地下へ入った途端ぴたりと止まった。
代わりに、生ぬるい空気がまとわりつく。
9番、9番……。
さっきまで「9」と書いた
プレートがあったはずなのに。
あれ?
どこへ行った?
矢印もあったのに。
少しうろうろして、ようやく気がついた。
私が降りてきた、その階段。
そこが9番出口だった。
あらまあ。
9番出口を探すために地下へ降りたのに、
最初から9番出口にいた。
朝からひとりで小さく笑った。
そこから地上へ出て、
少し歩くと――あった。
馬車道十番館。
レンガ造りの、とてもレトロな建物。
まだ開店前。
だから中へ入ることはできないけれど、
ガラス越しにそっと覗いてみる。
なんだかレストランのような雰囲気。
ここに、昨日教えていただいた
ビスカウトがあるんだ。
場所も知らなかったのに、
今朝、馬車道を通り過ぎて歩いていた方向は、
どうやら十番館の方だったらしい。
もしかしたら、私ではなく、
ビスカウトの方が、
「こっち、こっち」と
呼んでいたのかもしれない。
そして近くには勝烈庵。
さらに、お客様から聞いた
「丸和」という小さなとんかつ屋さんも、
このあたりらしい。
今日は美容院があるから、
これ以上探検している時間はない。
残念。
美容院がなかったら、
きっとそのまま丸和まで
探しに行っていたと思う。
だから、
これは明日のクエストに取っておこう。
今日のクエストは、
「かをりを確認する」
「十番館を見つける」
無事、達成。
丸和は次回へ持ち越し。
なんだかゲームみたい。
森村探検隊、朝からなかなか順調である。
ただし、ひとつ問題がある。
私が歩く時間は早すぎる。
せっかくお店を見つけても、
みんなまだ閉まっている。
「あった!」と思ったその勢いで扉を開けて、
食べたり買ったりできればもっと楽しいのに。
でもまあ、それもいい。
今日は場所を見つける日。
別の日には扉を開ける日。
そしてまた別の日には、
その味を物語にする日。
そうやって同じ街へ何度も寄り道できる。
ふと時計を見る。
そろそろ帰らなければ。
お風呂。
洗濯。
朝ごはん。
そして美容院。
そのあと14時からお店に出勤。
やることはいっぱい。
それでも今日は、
予定していたより20分ほど
早く戻ることができた。
よし。
まず朝の一作だけ上げよう。
そこから急いで、
今日のオアシス時間へ。
……と言いたいところだけれど。
今日のオアシス時間は、
どうやら全然のんびりできそうにない。
それでも、雨の中を歩き、
道を間違え、
地下で出口を探し、
お店をひとつ見つけて、
少し笑った朝。
こんな何でもない出来事も、
振り返ればちゃんと
今日だけの物語になっている。
さて。森村探検隊、
本日の朝の部はこれにて終了。
次なるクエストは――まず、お風呂です。
迷ひ道
ひとつ戻れば
店ひとつ
朝の寄り道
今日を面白く
— Morimura
森村探検隊、朝の寄り道✨
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