今日は10時から美容院の予約。

予定通り、9時46分にお部屋を出た。
本当は9時45分に出るつもりだったけれど、
まあ1分くらいは大目に見てもらおう。

外へ出ると、雨は止んだような、
まだ少し降っているような。

傘をさしている人もいる。

だからきっと、降ってはいるのだろう。
でも私は、傘をさすほどでもない気がして、
手に引っかけたまま歩き始めた。

今朝の朝ごはんは、
昨日お客様からいただいたカヌレの残り三つ。

まずは抹茶味。
ほろ苦い抹茶の味がしっかりしていて、
おいしい。
私は昔から抹茶味が好きだ。
羊羹でも、
深緑色をした抹茶味を見るとつい選びたくなる。

次はキャラメル味。
こちらは抹茶とはまるで違って、
甘く濃厚。
キャラメルバターのまろやかな甘さが、
しっかり生きている。

そして最後はフランボワーズ。
フランボワーズというのは、
ラズベリーのことらしい。
ひと口食べると、
ほかの二つとは違って、
甘さの中にきゅっとした酸味がある。

小ぶりのカヌレだから、
三つ食べても重たく感じにくい。

むしろ、少しずつ違う味を楽しめるのが
面白かった。

リーフレットには、
それぞれの味に合わせて
生地そのものを作り分けていると書いてあった。食べてみると、
なんとなくその意味がわかる気がした。

ただ香りを変えただけではない。
ひとつひとつに、
ちゃんと違う個性がある。
こういう横浜の有名店のお菓子を食べるのも、
なかなか楽しい。

今朝見つけた「かをり」や十番館も、
横浜ではよく知られたお店らしい。
たまには、
こういうお店のお土産を
家族に買って帰るのもいいなと思う。

でも、その前に。
まずは私が味見をしなくてはいけない。

「かをり」の宝石のようなゼリーは、
以前いただいて食べたことがある。
あれは、なかなかおいしかった。
そして今度は、レーズンサンド。
これがかなり有名らしい。

となると、一度食べてみなくてはいけない。

昨日は食べ過ぎ、飲み過ぎで、
たぶんお腹は少し疲れているはずなのに。
美容院へ向かう道すがら、
頭の中は食べ物のことでいっぱいだった。

こういう洋菓子を食べるなら、
やっぱりホットコーヒーが合う。
そろそろ、ホットコーヒーがおいしい季節。

コンビニでも、
ペットボトルのホットコーヒーが
並び始めている。

美容院で飲もうと思って、
一本買うことにした。

そういえば、
50円引きのクーポンがあったはず。
バッグの中をゴソゴソ。
せっかく探し出してレジへ持っていったのに、「こちらは対象外です」と言われた。

え?
同じジョージアなのに?
と思ったけれど、
どうやらそのクーポンはアイスだけが対象で、
ホットは含まれていなかったらしい。
アイスとホットで、そんなに違うの?
と思ったけれど、
使えないものは仕方ない。

そしてその頃になって、
急に眠気がやってきた。
さっきまでは、
9時45分までに
朝の用事を全部済ませなくちゃ。

三部作もまとめなくちゃ。
お風呂も。
洗濯も。
朝ごはんも。
そんなふうに気を張っていたからだろうか。

ほとんど眠気を感じていなかった。
ところが、ひと通り済ませて外へ出た途端、
どっと睡魔が押し寄せてきた。

ああ。

これは美容院の椅子に座ったら、
そのまま寝てしまうかもしれない。

目を閉じて、
気がついたら全部終わっていて、

鏡を見たら、
「え? 誰?」なんて
ヘアスタイルになっていたりして。

まあ、それはそれで今日の物語になるか。

そう思いながら、
眠たい目で、ホットコーヒーを片手に、
私は美容院へ向かっている。

甘きもの
三つ味わひて
秋の朝
眠気を連れて
髪を整ふ

— Morimura