4日ぶりの横浜の朝。

歩き始めたとき、
空はまだ透き通るような群青だった。
月がいて、
風がいて、
木々がいて、
足元にはいつもの白い靴。
ただ、それだけだったはずなのに。

歩けば歩くほど、
今朝の空は次々と姿を変えていった。
群青はほどけ、
雲は淡く色づき、
やがて光をまとい、
また別のかたちへと流れてゆく。

そのたびに、
私の心にもひとつ、
またひとつ、
知らなかった景色が描かれていった。

立ち止まり、
空を見上げ、
風に頬を撫でられ、
また歩く。

急ぐわけでもなく、
ゆっくりしようと決めるでもなく、
ただ心の向くままに。

気がつけば、
いつもの15分の魔法どころではなかった。
私はずっと、
秋の扉の向こう側を
彷徨っていたのかもしれない。

恋のような色を魅つけ、
昔の時間にふっと心を飛ばし、
光と影を拾い、
そして、
自分がこれから歩いていく
場所のことまで考えていた。

秋の空というのは、
不思議だ。
ほんの一瞬ごとに姿を変えながら、
こちらの心まで描き替えてゆく。

だから今朝の物語は、
ひとつでは収まりそうにない。
群青から始まり、
秋空に心を描き、
やがて私自身の歩く道へ。

そんな朝を、
これから三つの物語に分けて
ゆっくりほどいてみようと思う。
その前に――。
ただいま森村、
心のサンクチュアリーからの帰り道。

ここからしばらくは、
モリリンとヒカリンに
実況をお願いするといたしましょう。
さてさて。
今朝の森村さん、
ちゃんと地上へ戻ってこられるのでしょうか。

— Morimura