満たされたのは、お腹だけではなかった。

旬の味わいと匠の技に心まで奪われ、
ココロをいっぱいにして帰ってきた。

お店の定番メニューや、
本日のおすすめをいただくのもいいけれど、
今回の「よくばり献立」は、
想像していた以上に楽しかった。

お願いした魚が、
どんな手を加えられ、
どんなひと皿になって現れるのかわからない。
運ばれてくるまでの、
その小さなドキドキ感がいい。
苦手な食材は入っていないから、
大きなハズレもない。

目の前に置かれた料理を味わいながら
感想を言い合ったり、
「次は焼き物かしら」
「煮つけになって出てくるかもしれないわね」
などと、次のお皿を予想したり……。
料理がひとつ運ばれてくるたびに会話も増え、
話題が自然に広がっていく。

いつもの食事会とは少し違う、
その時間も面白かった。
これ、またやってみたい。

カウンターの中にいらした料理人の方には、
昨日の「鰻そばの教訓」の話をしてみた。
かなり笑われたけれど、
「そばにのせるなら、
ざるそばにしたらいいですよ」と
教えていただいた。なるほど……。
どうして、そこに気づかなかったのだろう。

温かいお出汁の中で
鰻と十割そばを合わせるのではなく、
ざるそばと鰻を別々に味わいながら、
時々一緒に口へ運ぶ。
その方が、お互いの味を消すことなく、
美味しく楽しめそう。
次は、ざるそばでやってみよう。

そんな話をしていたら、
また鰻の蒲焼が食べたくなってきた。

よいことを教えていただいたから……
ということもあるけれど、
今回のよくばり献立がとても気に入ったので、
来週17日の、
今日とは別のメンバーとの食事会も、
このお店に変更した。
お店を決める権利は、私にあるの。

食材についても、
「旬のものなら何でも」とのことだったので、
遠慮なく、
私の好きなものばかりお願いした。
もちろん、旬はきちんと押さえている。
アワビ、サワラ、イサキ。
それから、ついでのような顔をして、
私の大好きな鰻の蒲焼も頼んでしまった。
今度は、ミニざるそばも
添えてもらおうかしら。

旬の魚に心を躍らせ、
鰻とそばの再会をひそかに待つ。
次の夜もまた、暖簾の向こうに、
まだ知らない美味しさが待っている。