急いで自宅に戻り、
パパッと着替えると、
脱いだ服を片付ける間もなく、
そのまま朝ごはんの支度に取りかかった。

調理の順番は、
すでに頭の中にしっかりと刷り込み済み。
次に何をするか迷うこともなく、
手際よく、無駄な動線もない完璧な動き――と、自分では少し自惚れていたのだけれど、
家族の目には、
時間に追われて焦っているように
映っていたらしい。

のんびり屋さんの家族は、
そんな私を気の毒に思ったのか、
あれこれと手を貸してくれた。
そのおかげで、ずいぶん時短になった。
ありがとう。

やがて、最後の朝餐の食卓が、賑やかに整った。特別に豪華なものを作ったわけではない。
それでも、家族と向かい合い、
笑いながら言葉を交わし、
一緒に食卓を囲むひとときは、
私にとって何にも代えがたい
特別な時間だった。

美味しいね、と笑う顔。
何気ない会話。
いつもと変わらない食卓なのに、
「最後」と思うだけで、
ひとつひとつの景色が、
いつもより愛おしく胸に映る。
少しだけ寂しい。

けれど、これはお別れではない。
また私は、
この素敵な笑顔が待つ場所へ帰ってくる。
今朝の温かな食卓の余韻を胸に抱きながら、
次の時間へと歩き出そう。