25年以上ぶりに、
服を着たまま、
化粧も落とさず、
ソファで朝を迎えた。 

おはようございます。

家族がごそごそと
朝の支度をしている気配に起こされ、
私は真っ直ぐにお風呂へ突進した。

頭からシャワーを浴びると、
ようやくぼんやりしていた頭が
目を覚ましてくれたようだった。

髪を洗い、体を洗い、湯船に浸かる。
お風呂場の天井を見つめながら、
しばらく昨夜のことを思い返していた。

写メ日記をアップしたあと、
そのまま眠ってしまったらしい。
それも、ソファで。
服を着たまま。
化粧も落とさずに。
こんなことをしたのは、
30代の頃以来かもしれない。

あの頃は、朝起きるたびに、
ひどい自己嫌悪に陥っていたものだ。
けれど、25年以上ぶりに
同じような朝を迎えたというのに、
今朝の私は不思議なくらい
落ち込んでいなかった。

心臓をハートマークに例えるなら、
何かへの期待でふくらんでは元に戻り、
また別の期待でふくらんでは戻っていく。
まるで、「ワクワク」と
入力したときに出てくる
絵文字、💓のようだった。

飲み過ぎた。
食べ過ぎた。
メイクを落とさなかった。
服を着たまま、
朝までソファで眠ってしまった。
朝のウォーキングもできなかった。
いけないことばかりをして迎えた朝。

それなのに、
自己嫌悪に陥る余地はなかった。

先輩方の人生観に心からリスペクトを抱き、
ふとこぼされた愚痴には親近感を覚え、
肩書きではなく、
一人の人間としての私を認めてもらえた。

私の世界が、また少し広がっていく。
そんな空気のなかで、
思いきり飲み、食べ、歌い、弾けた時間が、
次のステップへとつながっていくような
期待に変わっていた。
だからきっと、昨夜の失敗さえも、
今朝の私には少し愛おしく思えたのだろう。

お風呂を出ると、
すぐに約束していた
家族の運転練習に付き合うため、外へ出た。
青く透き通るように輝く空を見上げ、
大きく胸を広げて、
朝の眩しい光を全身に浴びる。

建物と建物の間から
吹き抜けてきたそよ風が、
私の体をやさしく包み、
撫でるように通り過ぎていった。

昨夜の余韻を胸の奥にそっと残したまま、
私の体は、今からまた動き出す。
新しい一日に向かって。

朝の風だけが、
弾け過ぎた夜の名残を知っているように、
静かに私の髪を揺らしていた。