家族の運転練習に付き合い、
いつものカフェでモーニングをご馳走になって、自宅へ戻った。

けれど、ゆっくり一息つく間もない。
すぐに会社へ行く準備を整え、
慌ただしく家を出た。

街へ出た瞬間、
身体を包んだのは容赦のない暑さだった。
車に乗っている間は何とも思わなかったのに、
外へ一歩出ただけで、
汗がたらりと流れ落ちるような気がする。

こんなに暑いというのに、
メインの道路は車で大渋滞。
他府県ナンバーの車も多く見かけた。
もう子ども達は、夏休みに入ったのだろうか。
家族サービスで、どこかへ出かけるのだろうか。

そんなことを考えながら歩いていると、
この暑さのなか仕事へ向かっている自分が、
少しだけ情けなく思えてきた。
あと、たった一時間あればよかったのに。

とはいえ、十一時までは時間がある。
慌てず、焦らず、
ひとつずつ確実に仕事を片づけて、
十一時半までには自宅へ戻りたい。
そして今日の午後こそ、
本当の意味で
「オフ」になることを願っている。

そういえば、今朝のモーニングでは、
家族と向かい合わせに座りながら、
何気ない話をした。
「運転、だいぶ慣れてきたね」
「今日、焼肉に行くの久しぶりだね」
「晩ごはん、何にする?
私はニシンそばにするけど」
そう尋ねると、
「久しぶりに、
王将のラーメンと餃子がいいな」
そんな答えが返ってきた。

特別な話をしたわけではない。
けれど、こんなささやかな会話こそが、
心をふわりと温めてくれる。

忙しさに追われる一日の途中で、
何気なく交わした言葉が、
小さな灯りのように胸に残った。

だから今日も、もうひと踏ん張り。
午後からの静かな時間を楽しみに、
今できることを、きちんと終わらせて帰ろう。