お蕎麦屋さんを後にしながら、
ふと考えていた。
今日は土曜日。
この朝そば時間も、
あとわずかしか残されていない。
私は月曜日の始発で帰る。
その朝は、
もう朝そばを楽しむことはできない。
そして次に横浜へ来るのは29日の夕方。
ということは、
このお店で朝そばを味わえるのは
30日までお預けになる。
そう思うと、
少しだけ寂しい風が胸を吹き抜けた。
その気持ちを抱えながら、
明日は、久しぶりのゆで太郎で
朝そば時間を過ごそうと思ったから、
寄り道をすることにした。
大岡川へ向かう途中、
冷やしメニューには
どんなお蕎麦が並んでいるのか、
ちょっと下見をしてみたかったのだ。
店先に貼られたメニューを眺めると、
冷やしメニューは全部で7種類。
けれど私は、お肉が少し苦手。
そして生玉子も得意ではない。
さらに最近は天ぷらも控えめにしていて、
特に脂っこいかき揚げは遠慮したい。
そうやって消去法で見ていくと、
私が心惹かれたのは
薬味そばとなめこおろしそばの二種類だった。
どちらも、私好みの一杯になりそう。
まだ使っていない
トッピングのクーポン券も残っているから、
なめこおろしそばに、
お気に入りの天ぷらを添えるのも
いいかもしれない。
そんなことを考えているだけで、
また次の朝そば時間が楽しみになってきた。
ゆで太郎を後にすると、
そのまま一本細い路地へ入ってみた。
いつもの大通りと平行に走る、小さな裏道。
一筋違うだけなのに、
景色も空気もまるで別の街のようだった。
飲食店が軒を連ね、
歩くだけで新しい発見がある。
私は昔から、
こんな細い路地を歩くのが好きだ。
少し雑然とした景色の中に、
小さな驚きや新しい発見が隠れている。
そんな宝探しをしているような
気分になれるからだろう。
今日もまた、風はそんな私を導くように、
細い路地の奥へ奥へと吹き抜けていく。
その風に誘われるように歩いていると、
以前から気になっていた
お店の前へたどり着いた。
「大きい夢」と書いて、「タイム」
ホテルへ向かうたび、この店の前を通る。
店先には外向きのカウンターがあり、
夕方になると炭火を囲みながら、
楽しそうに笑い合う人たちの姿を
何度も目にしてきた。
フェアリーウィンクを出ると、
ちょうど目の前にあるお店だ。
近くまで来て看板をよく見ると、
ここは焼肉屋さんだった。
外で炭火を囲みながら味わう焼肉は、
まるで街中で楽しむバーベキューのよう。
「いつかここにも来てみたいな」
そんな小さな夢が、またひとつ増えた。
再び大岡川へ戻る。
水面は朝の光を映しながら、
ゆらゆらと揺れていた。
その上を渡る風が、
今日はずっと私の後ろからついてきてくれる。
まるで疲れた足を優しくさすり、
「今日もよく歩いたね」と
語りかけてくれているようだった。
その風に包まれるたび、
歩き続けた足の疲れも、
少しずつほどけていく。
そして、今日のゴール。
いつものようにクールダウンをして、
ゆっくりとストレッチをする。
最後に、大きく深呼吸。
その瞬間、ドン・キホーテの看板が
朝の光を受けて輝いた。
光と風に包まれながら、
今日の朝ウォーキングは静かに幕を閉じる。
そして、朝そば時間も、
今日という一日の第一章を読み終えた。
さあ、お風呂に入って、
心も体もゆっくりとほどいていこう。
風が運んできてくれた爽やかな余韻を
胸いっぱいに抱きながら、
今日だけのオアシス時間が、静かに始まる。
ホッとひと息〜風が導く、小さな寄り道〜
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