だいぶ早いけれど、
私の長い一日が終わろうとしている。 

まだ20:30にもなっていないというのに、
頭は重く、まぶたもずっしりとしている。
目を閉じれば、
そのまま眠りへ落ちてしまいそうだ。

それでも最後に、
今日という一日を振り返っておきたかった。
だから、もう一度ベランダに出て、
外の風に身を預けた。
雨上がりの風は、
時間が進むにつれて、
少しずつ、少しずつ冷たさを増している。
頬を撫でる風が、とても気持ちいい。

まるで私の頭まで優しく撫でながら、
「今日も一日、よく頑張ったね」と
褒めてくれているようだった。
いくつになっても、
誰かに褒めてもらえることは、
子どもの頃と変わらず
嬉しいものなのだと思う。

目の前には、
街の明かりがキラキラと輝いている。
あの明かりの一つ一つに、
それぞれの暮らしがあり、
仕事があり、
そこに生きている人たちの時間がある。

楽しんでいる人。
喜んでいる人。
悲しんでいる人。
苦しんでいる人。
きっと、それぞれの部屋の中で、
さまざまな思いを抱きながら、
今日という一日の終わりを
迎えているのだろう。

私も朝の光の中で、
今日という物語を紡ぎ始めた。
ゆっくりとした出勤でよかったものの、
出勤までの時間も慌ただしく、
会社に着いてからも、
やらなければならないことが
次々と押し寄せてきた。

本当なら、見積もりを作ることに必死になり、
パソコンにへばりついたまま
一日を終えていたかもしれない。

けれど今日は、
運よく風が私の思いをくみ取り、
効率よく進められる道へと
導いてくれたような気がする。

風を感じる時間。
風とともに過ごすひととき。
風に吹かれ、流されていく心地よさ。
風に頭を撫でられ、素直に喜ぶ私。

そして私は、風に導かれながら、
一歩ずつ前へと進んでいった。

今日もまた、
前を向いて歩くことのできた一日だった。
そのところどころには、
家族と過ごす温かく心安らぐ時間があり、
身の回りに当たり前のようにある風景を、
幸せなものだとしみじみ感じる瞬間があった。

今日という私の物語は、
いよいよ最終章へと入る。
風とともにあった一日。
光に導かれた一日。
そして、それぞれの時間を、
それぞれの瞬間を、
懸命に歩んだ私自身。

今日のページには、
色濃く、深く、鮮やかな言葉が綴られている。
行間に込めた思いは、
今も私の心の中で、
静かに、そして豊かに膨らんでいる。

心を表すこと。
心に響く言葉を紡ぐこと。
そして、その思いを、
美しく、豊かに、
誰かの心へとつながっていく
言葉にして伝えること。

言葉を考え、想像し、
文章という形へ作り上げていく。
私は、そんな時間が好きなのだと思う。
言葉を紡いでいると、心が落ち着く。
張り詰めていた思いが少しずつほどけ、
やがて深い安らぎへと変わっていく。

ふと、遠く離れた横浜の海を思った。
朝の光。
広がる空と流れる雲。
ゆらめく海。
鳥のさえずり。
船のエンジン音。
波がゆらゆらと揺れる音。

自然と人工の音が重なり合って奏でる、
あの場所にしかないメロディーと景色。
私は毎朝、それを肌で感じていた。

朝の神秘的な風景。
私を優しく抱きしめてくれるような景色。
その場所が、
明日には、
もうすぐ手の届くところまで近づいてくる。

それまでの間、明日の朝はこちらで、
横浜とはまた違った、
心を揺さぶる朝の感動を味わいながら、
ウォーキングへ出かけようと思う。

風とともにある私。
風に乗り、
風に揺られ、
風に心を動かされ、
風に持ち上げられながら、
今日も前へと進んできた。

疲れたときには、
風に頬を撫でてもらった。
楽しいときには、
風と一緒に、ふわふわと心を浮かべた。
苦しいときには、風につかまり、踏ん張った。
そして、こみ上げる喜びを、
風とともに空へ解き放った。

今日も、素晴らしい一日だった。
私の思いを。
私の心を。
私の気持ちを。
その奥で揺れ動いた葛藤を。
今日は、うまく物語として
記すことができただろうか。

私の今日のページは、
風に揺られ、
風に包まれながら、
神秘的な光が導く方へ、
一歩ずつ歩みを進めてきた記録だ。

その瞬間を。
その一瞬一瞬を。
その時々を。
私は今日も、前を向いて歩いた。

振り返ってみれば、
素晴らしい一ページに仕上がったように思う。
このページに色をつけるなら、
何色がいいのだろう。

きっと、明るいビタミンカラー。
それも一色ではない。
黄色、橙色、桃色、緑色。
今日のさまざまな思いを映した、
鮮やかで色とりどりの色なのだと思う。

今日一日を頑張った自分へのご褒美に、
これからショートドラマを観る。
物語に心を揺さぶられながら、
新しい景色を想像し、
また私だけの心の世界を創っていくのだろう。

その世界を胸いっぱいに抱き、
大切に心の中へしまいながら、
今夜は静かに眠りにつきたい。

今日も一日、よく頑張ったね。
風にそう褒めてもらいながら、
重たいまぶたを、
そっと閉じる。
おやすみなさい。

ショートドラマを観ることもなく、
日記を書いている途中で、
いつの間にか眠ってしまっていた。

2:37にふと目が覚めて、
今、慌てて昨夜の続きを書いている。
よほど眠たかったみたい。
ここまでくると、
「おやすみなさい」ではなく、
「おはようございます」の方が、
よかったりして……。