お昼はバーベキューで
お腹いっぱい食べたから、
晩ご飯は簡単に済ませるつもりだった。
けれど、家族はそうではなかったみたいだ。
それでも、家族のために一生懸命用意をした。
私は雪見だいふくで、
すでに小さな幸せに満たされていたので、
晩ご飯は控えめに済ませ、
先ほどようやく後片づけを終えたところだ。
自宅にいると、少し困るのが写メ日記である。
あまりスマホを触っているところを
家族に見られたくないので、
どうしてもベランダへ出てしまう。
ベランダへ出れば、
外の風に当たり、
景色を眺めながら気分転換ができる。
それはそれで心地よいのだけれど、
今日はさすがに暑い。
気温を確認すると、
20:00を回っているというのに、
まだ30度もある。
暑いはずだ。
昼間に蓄えられた熱が、
逃げ場を失ったまま、
辺りの空気の中を漂っているようだった。
まるで、今日の私の体みたいだな。
そう思うと、思わず笑ってしまった。
バーベキューから
帰ってきたときの私の体には、
きっと熱中症注意報の
アラームが鳴っていたのだろう。
冷たいものを飲み、
エアコンの風に当たり、
雪見だいふくを食べ、
お風呂もぬるめのお湯に浸かった。
そうして涼しい部屋で休んでいるうちに、
体の中にこもっていた熱も、
少しずつ落ち着いてきた。
やはり、無理は禁物だ。
そう思いながらも、
写メ日記を書きたくて、
私はまたベランダへ出てきた。
こうして外の空気を吸いながら
文章を書いていると、
お店に出ているときの待機中、
気分転換のために外へ出て、
写メ日記を書いている時間を思い出す。
場所は違うのに、していることは同じ。
そんな自分がおかしくて、
また少し笑ってしまった。
でも、自宅にいる今は、
もう頑張らなくてもいい。
もう誰かのことを気にしなくてもいい。
このあとは眠るだけでいい。
そう思えるだけで、
心はずいぶん楽になる。
生ぬるい空気の中で、
私は今日一日を思い返していた。
朝の3:00から始まった、長い、長い一日。
荷物を片づけ、洗濯をし、
眠り、慌てて起き、
バーベキューへ向かい、
久しぶりの人たちと笑い、我が家へ帰り、
家族のために晩ご飯を用意した。
ずいぶん長い一日だったはずなのに、
振り返れば、
あっという間だったような気もする。
先ほどベランダに出たとき、
空には美しいピンクゴールドの光が
広がっていた。
雲も、木々も、建物も、
そのやわらかな光の中に溶け込んでいた。
けれど、今はもう、
その輝きのすべてが暗闇に包まれている。
同じ場所から魅ているのに、
ほんの少し時間が過ぎただけで、
空はまるで別の世界へ姿を変えていた。
光が消えたのではない。
夜に場所を譲り、
静かに休んでいるだけなのかもしれない。
そう思うと、
暗闇さえも冷たくは感じなかった。
目には見えなくなっても、
夕暮れの光は空のどこかに残り、
昼間に吹いていた風も、
今は形を変えて、
私のまわりをゆっくりと漂っている。
横浜から連れて帰ってきた風も、
我が家のベランダに昔から住んでいる風も、
今夜はもう区別がつかない。
二つの風はいつの間にか一つに溶け合い、
今日の疲れも、
笑い声も、
雪見だいふくのやさしい甘さも、
すべてを抱えて、
私の髪や頬をそっと撫でていく。
「もう今日は、ここまででいいよ」
そんなふうに、
夜の風が語りかけてくれているようだった。
自然の営みの大きさと、
その中に優しく包まれて
暮らしていることのありがたさを、
ただ静かに思う。
朝の光から始まった私の一日は、
夕暮れのピンクゴールドを越え、
今、深い夜の色へとたどり着いた。
長い一日の最後に残ったのは、
疲れだけではなかった。
今日出逢った笑顔。
家族の思いやり。
雪見だいふくのやさしい甘さ。
そして、どこへ行っても
私のそばにいてくれた風。
暗闇の中で魅えなくなった景色にも、
今日という一日の余韻が、
まだ薄い光のように漂っている。
私はその余韻を、
もう少しだけ手放したくなくて、
しばらく椅子に座ったまま、
夜の空を魅つめていた。
やがて、生ぬるかった風の中に、
ほんのわずかな涼しさが混じった。
それはまるで、長い一日を終えた私への、
夜からの小さな贈り物のようだった。
今日も、よく頑張った。
そう心の中で自分に声をかける。
すると暗い空の向こうから、
姿の見えない風が、
そっと頷いてくれたような気がした。
もう少し、このままでいよう。
夕暮れから夜へと移り変わった、
このベランダの余韻が静かに落ち着くまで。
そして、心に残った風の感触をそっと連れて、
私は部屋へ戻ることにしよう。
五日ぶりの我が家で過ごす夜は、
まだゆっくりと続いていく。
夜風にほどける長い一日の余韻✨
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