熱いお風呂に入って、汗をすっきり流した。
そして、エアコンの効いた部屋へ戻る。

五日ぶりのオアシス時間。
今日は朝からいろいろあって、
いつもより一時間ほどペースが遅れている。
だから、いつまでも
のんびりしているわけにはいかない。

それでも、お風呂で温まった熱い身体が、
エアコンの風にさらされて、
すーっと冷えていく
この感覚がたまらなく気持ちいい。
ああ、帰ってきたんだな。
そんな気持ちになる。

そして今日は、朝そばの時間を手放した。
今まで私は、
朝そばの時間に間に合うかどうかで、
ずいぶん心を乱されていた。
けれど、その一方で、
身体にはかなり負担が
かかっていたのかもしれない。

今はまだ朝ごはんを食べていない。
お腹は空いている。
でも、不思議なくらい気持ちがいい。
心が無になったような感覚。
そして、お腹まで無になったような感覚。
その空っぽの感じが心地よくて、
頭まで澄んでいくようだった。
今から食べる朝ごはんは、きっと美味しい。

持ってきたゆで玉子と、
コンビニで買ったサンドイッチ。
私の好きな、
モッツァレラとトマトの組み合わせだ。
見た目からして爽やかで、
今の私のお腹に、ちょうどよさそう。
食べるのが楽しみになってきた。

そういえば、私は今まで、
10km。
10km。
10km。
そう言いながら、
決めたことにはまっしぐらだった。

まるで赤い布を見つけたイノシシのように、
「絶対にそこまで行く」と
意地になっていたこともあった。

でも今日は、
あれだけこだわっていた朝そばを手放した。
そして、時間も手放した。
そうしたら、不思議なくらい、
「そんなにこだわらなくても
いいのかもしれない」と
思えるようになった。

気持ちが、ふっと楽になった。
今日は自分のペースで、ゆっくり歩いた。
景色を見て、
木々を見上げて、
懐かしい思い出を巡り、
昨夜の余韻を感じ、
心をときめかせながら歩いた。

何キロ歩いたかなんて、
ほとんど気にしていなかった。
それなのに、
いつものコースを歩いていたら、
自然に10kmを超えていた。

ああ、これでいいんだ。
少しだけ達成感もあった。
でも、今日からは、
その数字にあまりこだわらないことにしよう。

それよりも、何を見つけたか。
何を感じたか。
何に心を動かされたか。
そちらの方を大切にしたい。
その方が、明らかに楽しい。
その方が、きっと一日が豊かになる。
そんなことに気づけた朝だった。

この十日間の横浜ステイも、
距離や時間に縛られず、
もっとおおらかな気持ちで過ごしてみたい。

もう一日終わったから、
残りは九日。
あと九日間、
どんな景色に出逢うのだろう。
どんな風が吹くのだろう。
どんな小さな答えが、
また私のところへ返ってくるのだろう。

そんなことを思っているうちに、
身体の熱も、すっかり引いてきた。
さあ、そろそろ朝ごはんにしよう。
空っぽになった心とお腹に、
今度は美味しいものを、
ゆっくり満たしていこう。