お店に着いたのは、12時少し前だった。
12:30からのご予約だったので、
少し余裕があると思っていたら、
お店からメールが届いた。
「12:00に車のところまで行ってください」
えっ、あと7分。
急いで今日の居場所を確保して、
慌ただしく車へと向かった。
車に乗って、
気になっていたオキニークを開いた。
今からお逢いするあなたからだった。
「乾杯のドリンクは何がいいですか?」
わあ、嬉しい。
まだお逢いしたこともないのに、
そんなふうに聞いてくださる
優しいお気持ちが嬉しかった。
でも、お返事するのがあまりにもギリギリ。
もう間に合わないかもしれないな、
と思いながら、
それでも厚かましく、
「ビールがいいです」と送った。
まだ見ぬあなたの優しさを胸に抱きながら、
車はあなたの待つホテルへと向かった。
そして、本日最初のドアが開いた。
迎えてくださったのは、
とても笑顔の素敵なあなた。
そして、その向こうに広がっていた
お部屋を見て、思わず声が出た。
「すごい。綺麗なお部屋」
広くて、綺麗で、なんだかとても豪華。
こんな素敵なお部屋で一緒に過ごせるなんて、
それだけで嬉しくなった。
そしてあなたは、
私の日記が気になって
呼んでくださったのだと話してくれた。
それが、また嬉しかった。
「日記、読んだよ」
私にとって、
この言葉はとても嬉しい言葉のひとつ。
私がそのとき見た景色や感じたこと、
心の中に残しておきたかった
瞬間を綴った文章に、
誰かがそっと触れてくださったような
気がするから。
そしてあなたが、
「返事がギリギリだったから、
飲み物を買うのは間に合わなかったけど、
ビールだよね。
アサヒとキリン、どっちがいい?」
と聞いてくださった。
「アサヒがいい」そう答えると、
出てきたのは
アサヒスーパードライのロング缶。
二人で乾杯。
なんだか嬉しい。
まだ出逢ったばかりなのに、
あなたとは気が合いそうな気がした。
それから二人でお風呂へ入り、
じゃれ合いながら過ごして、ベッドへ。
「まずは、お姉さんに任せなさい」
年齢はほんの少ししか違わないけれど、
一応、私のほうがお姉さん。
だから最初は私から。
ゆっくり、
優しく、
柔らかく。あなたの表情を見ながら
触れていると、
心地よさそうにしてくださるのが
伝わってきて、
それがとても嬉しかった。
すると今度は、
あなたが「交代」とでも言うように
起き上がった。
あなたの優しいぬくもりに包まれながら、
胸の鼓動を感じていると、
体だけではなく、
心までほどけていくようだった。
そして、ぎゅっと抱きしめ合った。
不思議だった。
今日初めて逢ったはずの人なのに。
さっきまで「まだ見ぬあなた」
だったはずなのに。
いつの間にか、
心の距離までずいぶん近くなっていた。
素敵なお部屋で、
素敵な時間を過ごさせてくださって
ありがとう。
「また楽しみに待ってるね」
そう言って、お別れした。
もう迎えの車が待っていた。
そしてホテルの大きなドアが開いた、
その瞬間。
待ってました、とでもいうように、
風が一斉に私のところへ集まってきた。
どうだった?どんなお部屋だった?
……聞かなくても、
その顔を見ればわかるよ。
すごくいい時間だったみたいだね。
また呼んでもらえるといいね。
このホテルに。
風は、私の心の中を
全部知っているようだった。
頬を撫で、
髪を撫で、
服の裾を揺らして、
車が走り出してからも、
その後ろを楽しそうについてくる。
うん。とっても素敵な時間だったよ。
風には、それだけ伝えれば十分だった。
さあ、待機所へ戻ろう。
また次のドアが開く、その時まで。
風さん、
もう少しだけ、この余韻のそばにいてね。
風は、顔を見ればわかる✨
勃つねで応援-
-
共有で応援