車で送っていただき、
待機所へ戻る途中、
ご予約をいただいたみたいだった。
見ると、「時間厳守」の文字。時間厳守?
何かしたいことでもあるのかな。

そんなことを考えながら、
いったん待機所へ戻った。
お昼ご飯を食べ、
15:30ぴったりに間に合うように支度をして、
再び外へ出た。
ポツポツと雨が降っていた。

そして、私の風は車の後ろから
ずっとついてきていたらしく、
戻ったと思った私が
またすぐに出てきたものだから、
少しびっくりしたように、
それでも慌てて私の後を追いかけてきた。

「時間厳守」なのだから、
1分早くても、
1分遅くてもいけないような気がする。
時計を気にしながら歩く速度を調整し、
きっちり15:30。
ドアをノックした。

開いたドアから、おそるおそる中を覗く。
すると、そこにいたのは――
すらりと背の高い、
とても爽やかな青年だった。

え?思わずびっくりしてしまった。
「時間厳守って書いてあったけど、
もしかして何かしたかった?」
そう尋ねると、
「いやいやいや、
そんなんいいですよ。普通で」
照れくさそうに笑うあなた。

もしかしたら、私のとぼけた第一声で、
せっかくのやる気を
削いでしまったのかもしれない。

それにしても、あまりにも若々しいあなた。
思わず年齢を聞いてしまった。
多少若くても、
もう驚かないつもりでいたけれど、
あなたの年齢にはさすがに驚いた。
でも、私をご指名くださったのだから。

「じゃあ、お姉さんが可愛がってあげる」
そう言って、優しくあなたに触れていった。
目を閉じているあなたから、
ちゃんと気持ちが伝わってくる。
「気持ちいい?」
「めっちゃ気持ちいいです」
即答するあなたが、
なんだかとても可愛かった。

そして今度は、あなたからのお返し。
若いのに、
私の表情や反応を確かめるように、
優しく、優しく接してくれる。
その穏やかさが心地よくて、
私もすっかり身を委ねていた。

あなたの胸を枕にして、
腕に抱かれながら過ごす時間。
爽やかな年下のあなたとのひとときを、
私も思う存分楽しんでいた。

そして、二人が
いちばん盛り上がったのは――
なぜか和食の話。
割烹料理や懐石料理。
あなたもいろいろ勉強していて、
その話を聞いているのがとても楽しかった。
私も和食が好きだから、
私の知っていることを
あなたに伝えられるのが嬉しい。

これから目標に向かって、
一歩ずつ頑張っていってほしいな。
そんなことを思いながら、
心の中でそっとあなたにエールを送っていた。

そして、ドアが閉まった。
あなたとお別れしてからも、
爽やかな余韻が残っていた。
まだ若いあなたの、
その先に続いていく明るい未来まで
少し見えたような気がして、
その余韻を連れたまま戻っていた。

いつもの場所に座り、
あなたとの時間を思い出しながら
日記を書いていると、
私の風が迎えに来た。
「楽しい時間だったみたいだね。
何の話をしていたの?」
「割烹料理や懐石料理の話をしていたのよ。
なんだか、食べたくなっちゃった」
そう答えると――
風は、ふっとどこかへ飛んでいってしまった。

あら。
どこへ行ったのかしら。
もしかしたら、
どこかの小料理屋や割烹のお店を覗いて、
お出汁や焼き物のいい香りを
少しだけもらって、
私のところへ届けようと
しているのかもしれない。

しばらくしたら、
「ほら、見つけてきたよ」なんて、
和食の香りをまとって戻ってきたりして。
そんなことを想像したら、
思わず笑ってしまった。

本当に、私になついている可愛い風。
私はまた日記に目を戻し、
風が帰ってくるのを、
少しだけ楽しみに待っていた。