目が覚めると、
そこは待機所に作った私の巣の中だった。

時刻を見ると、18:30。
まだそのまま眠っていられたけれど、
ふと風さんたちに逢いたくなって、外へ出た。

今日の日の入りは18:30。
私が外へ出た頃には、
太陽が沈んでから少し時間が経っていた。
それでも西の空には、
ついさっきまで太陽がそこにいたことを
知らせるような、
淡いオレンジ色の光が残っていた。

風が、ふわり、ふわりと吹いている。
すると、風さんたちが
私のそばに集まってきた。
「どうしたの? お仕事が入ったの? 
そのわりには、
ずいぶんのんびりしているわね」
「ううん、お仕事じゃないの。
まだ待っている最中。
でも、急にあなたたちに逢いたくなったのよ。
ずっとほったらかしだったから、
どうしているかなと思って」

その瞬間、風が少し強く吹いた。
私が自分たちのことを気にかけていたことを、
喜んでくれているみたいだった。

夜へと向かう風が気持ちいい。
空にはまだ、
ほんの少し明るさが残っている。
けれど、この色ももうすぐ
夜の闇へと溶けていくのだろう。

私は二時間ほど、ずっと眠っていた。
夢さえ見ないほど、ぐっすりと。
ただ、途中で晩ご飯のおにぎりを食べて、
またすぐ横になってしまったから、
なんだか胃が重たい。
やっぱり、食べてすぐ寝るのはよくないね。

持ってきたおにぎりは
もう全部食べてしまったから、
今はお腹も空いていない。
でも、私はまだ0時まで待つ。

きっと、それまでにはまたお腹が空くだろう。
せっかく外へ出てきたのだから、
帰りにコンビニへ寄って何か買っておこう。
もう重たいものはいらない。
チーズくらいがいいかな。
それと、喉がスッキリするように、
久しぶりにコーラでも飲んじゃおうかな?

そんなことを考えながら、
空を見上げ、風に吹かれていた。

今日は朝から、
小さな未来の変更がいくつもあった。
そのたびに私は、
今日という一日の未来図を
少しずつ書き換えてきた。
そして、ここまでやってきた。

では、これから先の私は、
どんな未来を歩くのだろう。
できれば、お仕事が入るといいな。
あなたが逢いに来てくれたら嬉しいな。
そんなことを思う一方で、
――もうあと二時間くらい、眠りたいな。
そんな私もいる。

だから今、頭の中に、
これからの未来図を描いてみた。
今から二時間ほど眠る。
目を覚ますと21:00。
そこから一つ、できれば二つ、
素敵な出逢いがあって、
最後のドアが閉まるのは0時少し前。

うん。
そんな未来だったら嬉しい。
では、その絵に色をつけてみよう。
今から眠る二時間は、
明るすぎると眩しいから、
深い藍色にしておこう。
静かで、柔らかくて、安心して眠れる色。

そして21:00。
ここから先は、鮮やかな色がいい。
オレンジ。
黄色。
ピンク。
少しだけ金色も混ぜてみようか。

出逢いが一つ増えるたびに、
未来図の中に新しい色を置いていく。
そうして0時を迎える頃には、
今日という一枚の絵が、
いろいろな色でいっぱいになっていたらいい。

まだ何も起きていない未来に、
自分で色をつけていく。
そう考えると、
なんだかとても素敵なことを
しているような気がした。

ふと見ると、風さんが私の未来図を
覗き込みながら、微笑んでいた。
「綺麗な、
鮮やかな色でいっぱいになるといいね」
私は風さんを見て、
にっこり笑った。

うん。
どんな絵になるかは、まだわからない。
だから今は、この深い藍色の中で、
もう少し眠ってみよう。目を覚ましたとき、
私の未来図に最初に置かれるのは、
いったい何色なのだろう。