新しく芽生えた新芽を、
これから心の中でゆっくり、
大切に育てていこうと思った。
水は海。
養分は、私が心で受け取る感動。
そして光は、太陽。
そんなことを思いながら過ごした、
芽生えた朝のオアシス時間。
出かける予定があり、
時間はたっぷりとは取れなかった。
それでも午前中にやることを整理して
メモに書き、
帰ってからの予定まで考えることができた。
短くても、中身の濃い時間だった。
「よし」
清々しい気持ちで外へ飛び出すと、
予定より10分ほど早かった。
この10分は、ゆっくり歩こう。
風景を無理に拾わなくていい。
ただ感じながら歩けばいい。
風さんがやってきた。
風に吹かれ、
あれほど夢中になって名前を探した
木々の葉が揺れている。
「いい朝を迎えたわね」そう言って、
新しく芽吹いた私まで
喜んでくれているようだった。
風さんも囁く。
「今日のあなた、顔が清々しくて、
目まで澄んで輝いて見えるわ」
「風さん、それは言いすぎかも」
そんな会話をしながら、
手をつないで
スキップするような気持ちで歩いた。
私自身も、土の中からぽこっと顔を出した
新芽になったみたいだった。
すると不思議。周りの色が、
いつもより鮮やかに見える。
耳に届く音まで澄んでいる。
風の音さえ聞こえて、
その吹き方の違いから、
何を話しているのかまで分かるような気がした。
自然も生きている。
街も生きている。
人も生きている。
そして、私も生きている。
それぞれの呼吸が重なり、
美しい旋律になっていく。
独奏ではない。
二重奏でも、三重奏でもない。
これは、オーケストラ。
今、この瞬間にしか奏でられない音楽だった。
その旋律を心ゆくまで楽しみながら
歩いていたら――
「あれ?」どうやら一本、
道を間違えていたらしい。
少し走った。
はあ、はあ、と息が切れる。
でも、この吐く息だって、
きっと心の中の新芽に吹きかける風になる。
水は海。
養分は感動。
光は太陽。
じゃあ、この息は何になるんだろう。
新芽のための風?そう思ったら、
なんだかおかしくなった。
新芽になったばかりの私は、
今日もこうして、笑いながら育ち始めている。
新芽が聴いたオーケストラ🎵
勃つねで応援-
-
共有で応援