14時のアラームで目が覚めた。
眠ったのは11時40分だったから、
1、2、と数えてみれば、

2時間20分の睡眠貯金。
起きたての頭はぼんやりしていたけれど、
少しずつ視界も心もすっきりしてきた。

ここを出たら、今日はもう戻ってこない。
お昼寝のためだけに作ったような
私の巣を片付ける。
でも、だからこそよく眠れたのだろう。
短い役目を終えた巣に、
心の中で「ありがとう」と告げた。 

外へ出ると、風さんがやってきた。
「風さん、どこへ遊びに行っていたの?」
「ぐるっと一周してきたのよ。
向こうの町から、この横浜まで」
「え?」
「うふふ、早いでしょ。
向こうの町の香りを、少し届けてあげる」

風に混じった懐かしい香り。
まだ数日しか経っていないのに、
その香りを感じた途端、
向こうの町の景色が心に浮かんだ。
そろそろ、この横浜ステイも終わるのね。
そう思うと、
少しだけ寂しさが流れ込んできた。
一粒の涙が、雨粒のように頬をつたう。

「あら、雨が降るのかもしれないわ。
でも大丈夫。今日は傘を持ってきたもの」

そして、今日最初のドアが開いた。
いつも温かく抱きしめてくださるあなたが、
今日も遠くから会いに来てくださった。
横浜へ来るたび時間を作ってくださることが、
私は本当に嬉しい。

部屋に入ると、
あなたはぎゅっと私を抱きしめてくださった。
その温もりの中で、
「ああ、また逢えた」と実感する。

触れ合いながら魅つめる
あなたの表情に胸が高鳴り、
私からあなたへ想いを返せば、
その想いを受け取ってくださっていることが
伝わってくる。
それがまた嬉しかった。

あなたと一緒にいると落ち着く。
心が癒され、穏やかになる。
ただ逢えること、一緒にいられること。
それだけで心が静かに満たされていく。
ありがとう、あなた。

もっと一緒にいたいと、いつも思っています。
また会いに来てくださいね。
待っています。

ホテルを出ると、風さんが待ち構えていた。
ところが――「風さん、ごめんなさい。
また、このホテルなの」
「え?」風さんが目を丸くする。

次のあなたも、偶然同じホテルだった。
「……また?」
風さんに見送られたばかりの私は、
くるりと向きを変える。
そしてもう一度、
同じホテルの中へ戻っていった。