17時から、ずいぶん眠った。
途中でようやくカイザーパンを口にすると、
おいしい、と素直に思えた。
その小さな感覚に、
少しずつ自分が戻ってきたような気がした。
そして、もうひと眠り。
お店からの電話で目を覚ましたのは、
20時少し前だった。
よく寝たなあ。
重かった頭はいつの間にかすっきりしていた。
急いで支度をして外へ出ると、
街はもう真っ暗。
それでも今日は涼しく、
湿り気を含んだ夜の空気さえ心地よかった。
「風さん、そこにいる?」
「よく寝ていたみたいね。」
「そうなの。じゃあ行ってくるから、
また迎えに来て。」
「わかったよ。」
そして、次のドアが開きました。
迎えてくださったのは、
優しく温かな笑顔のあなた。
落ち着いた佇まいと少し低めの甘い声。
その人を包む空気まで、
どこか甘かった。
不思議だった。
ついさっきまで眠りの中にいた私の心が、
その穏やかさに触れるたび、
さらにゆっくりとほどけていく。
ふと目に留まったのは、
デスクの上の迷彩のバッグだった。
深いOD色と、その濃淡。
私も大好きな色。
自然の中へ帰ったときのように
肩の力を抜かせてくれるその色を見ながら、
もしかしたらあなたも、
日常から少し離れて
深呼吸をしにここへ来たのかしら、
なんて勝手に想像した。
私も同じだったのかもしれない。
優しく触れ、優しく抱かれ、
言葉を交わして笑う。
「気持ちいい」と
言ってくださるあなたの表情を魅ているうちに、いつしか私まで心地よくなっていた。
癒しているつもりだったのに、癒されていた。
身体だけではない。
話が合うこと、笑えること、
そして無理に何かを演じなくてもいいこと。
眠りで身体を休ませたあと、
今度はあなたとの時間が、
心の奥に残っていた
小さな疲れまでそっとほどいてくれた。
「また逢いに来てくださいね。待っています」
そう言ってあなたと別れ、
ホテルを出る。
外には風さんが待っていた。
さあ、一緒に帰りましょう。
でも、まだ今日は終わらない。
最後のドアが待っている。
「なんだか、ゆっくり癒されたみたいだね」
風さんがそう言った。
私は思わず笑った。
「あなたは何でもお見通しね」
そして私は、
深い緑の余韻を心に残したまま、
最後のドアへと向かった。
深い緑にほどけた夜✨
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