予定通りの電車に乗ることができた。
この電車にさえ乗れば、
もう帰る町はすぐそこ。
そう思った途端、
張っていた心がふっとほどけた。
昨日買っておいた
サンドイッチとゆで卵を食べ、
コーヒーを飲む。
いつもならアイマスクをつけて
眠るところだけれど、今日は手帳を広げた。
今日の予定、明日、明後日、
その先の9月まで。
次のEX予約を済ませ、
横浜から帰る途中にある和歌山出張の
特急券も購入した。
慣れない操作に少しイライラしながら
格闘していたら、
いつの間にか一時間。
けれど昨日の「3時間と3時間」の
睡眠貯金が効いているのか、
不思議とまだ眠くない。
今日は会社へ直行して定例会、
戻れば社内会議、
そして昼の会食。
夕方には早めに帰って、
家族と久しぶりの焼肉が待っている。
明日はホテルでフレンチ、
その次には懐石料理。
ごちそう続きに、私のお腹、大丈夫かしら。
今日のお昼は控えめにしておこう。
そんなことまで手帳の向こうに
思い描いていた。
さあ、そろそろアイマスクをつけて眠ろう。
目が覚めたら、
きっともう帰る町はすぐそこ——。
そう思ったところで、家族からLINEが届いた。「目玉焼きいる?」
ああ、先を越されちゃった。
本当は私から「今から帰るよ」と
送るつもりだったのに。
でも、そのたった一言が嬉しかった。
遠く離れていても、
私が帰ってくる先には、
いつもの台所があり、
温かな食卓があり、
私のことを思ってくれる人がいる。
手帳の上で9月まで先回りしていた私の心を、
小さな目玉焼きが、
今日という場所へ連れ戻してくれた。
帰ったら、また食卓を囲もう。
何でもない話をしながら、笑いながら。
未来の予定を
いっぱい詰め込んだ手帳を閉じて、
今度こそアイマスクをつける。
目が覚めれば——
私の帰る場所は、もうすぐそこ。
目玉焼きの向こうにある場所✨
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