13時少し前、会食が終わった。
会議では、自分の役割を
思い描いていた通りに果たすことができ、
とりあえず一件落着。
そして会食のお弁当は、
私の好きな松花堂弁当だった。
松花堂弁当には
いつもお刺身が入っているけれど、
私はなぜか、
お弁当に入ったお刺身には
あまり心が動かない。
ところが今日は鱧落としだった。
真っ白に花咲くような鱧の湯引き。
その傍らには鮮やかな梅肉。
白と赤の美しいコントラストを
眺めているうちに、
少し気が早いけれど、
紅葉の季節の景色がふっと蘇った。
真っ白なお城の壁に、
しなだれかかるような真っ赤な紅葉。
そんな、得も言われぬ美しい光景。
こちらは今、33度。
まだまだ夏真っ盛りで、残暑も厳しい。
それでも、
少しずつ秋の気配が
見え隠れし始める頃だからこそ、
こんな景色を思い出したのかもしれない。
そういえば、
そろそろ松茸も顔を見せ始める頃だろうか。
我が家では毎年、
「秋の先取りメニュー」と称して、
松茸ご飯、焼き松茸、松茸のお吸い物。
そして大根おろしたっぷりの
秋刀魚の塩焼きをいただくのが
恒例になっている。
横浜へ行くようになってからは、
タイミングを逃す年もあるけれど、
今年もそろそろ秋の先取りメニューの
出番かもしれない。
デスク周りを見ると、
仕事もそれほど溜まってはいなさそうだ。
これなら一時間ほどで片付きそう。
さっさと終わらせて、
帰りにデパ地下へ寄ってみよう。
秋の食材は、どこまで並び始めているだろう。
旬を少し先取りすることは、
新しい季節を迎える心の準備にも似ている。
私は、夏から秋へ移っていく
この時期が好きだ。
名残りの夏の食材を味わいながら、
走りの秋を少しだけいただく。
二つの季節が同じ食卓の上で重なり合う、
あの不思議な感覚。
それもまた、
日本らしい季節の味わい方なのかもしれない。
季節の移ろいが
以前ほどはっきり感じられなくなってきた
今だからこそ、
せめて食卓の上では、
そんな小さな季節の変化を楽しみたい。
今日の会食の松花堂弁当。
蓋を開けたら、
料理だけではなく、
紅葉の記憶も、
秋の食卓も、
これから訪れる季節への楽しみも
飛び出してきた。
まるで、小さな秋を忍ばせた
玉手箱のようだった。
松花堂の玉手箱に、小さな秋🍁
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