とにかく会社へ直行し、
取るものも取りあえず定例会へ。
ババッと済ませて戻ってきたのは、
9時半を少し回った頃だった。
やればできるじゃない。
ちゃんと間に合うじゃない。
自分で自分に感心しながらも、
気づけばお腹が空いていた。
朝ごはんは電車の中で食べたはずなのに、
もう4時間近く経っている。
10時のおやつというものが、
なんだか急に理解できた気がした。
でも食べている時間はない。
スタッフから資料を受け取り、
コーヒーをひと口。
そして、そのまま会議室へ向かった。
今日は私の報告がメイン。
パワーポイントを映しながら、
手元にも資料がある。
こういうスタイル、私はあまり好きではない。
どちらか一つでいいんじゃないの、と思う。
でも、いつの間にか会社では
これが当たり前になっている。
持ち時間は20分ほど。
質疑応答を入れて30分。
別に緊張はしていなかった。
やるべきことはきちんとやってきた。
それを説明するだけ。
自分ではかなり完璧だと思っているから、
そうそうツッコミどころもないでしょう。
今日も余裕。
ただ、朝ひとつだけ悩んだことがあった。
服だ。
いつものように
ブラウスとタイトスカートではあるけれど、
今日は何でもいいわけではない。
赤や白や黄色のスカートはやめておこう。
みんなに褒められた
鮮やかなピンクのブラウスも、
今日はさすがに違う。
そこで、もしかしたらと思って忍ばせておいた
白いブラウスと黒のタイトスカートを選んだ。
白と黒。
それだけ聞けば、なんだか新入社員みたい。
自分でも少し
フレッシュマンになった気分だった。
でも、黒のスカートは
ただのすっきりしたタイトではなく、
少しデザイン性のあるもの。
白いブラウスもシャツではなく、
ノースリーブで大きな襟がついている。
同じ白と黒でも、どこかちょっと小粋。
そして何より、
中身がもう新入社員ではない。
人前で話すことは嫌いじゃないし、
必要以上に緊張もしない。
積み重ねてきたものがあるから、
白と黒を着ていても、昔の私とは違う。
態度の大きさも、
その証拠かもしれないけれど。
そんなことを思いながら、ふと気づいた。
今日、会議室へ向かっているのは、
私ひとりではない気がする。
心の中には、いつも一緒だった風さんがいる。
最近仲間になった、
めぐり木のモチおじさんとなぞちゃんもいる。
そして、光をいっぱいに浴びた新芽がいる。
最後に、私、ふしぎちゃん。
この物語の仲間たちを、
私はちゃんと横浜から連れて帰ってきていた。
白と黒をまとった私は
一見とてもシンプルなのに、
心の中には、
横浜で拾った色が
こんなにもたくさん残っている。
海の青。
朝の空の白。
光の金色。
風の透明。
そして、新芽のやわらかな緑。
横浜ステイの六日間で、
私はきっと少し輝きを増したのだろう。
だから今日の私は、
きっと自信満々の顔をしていた。
そのとき、頭の中に横浜の海が浮かんだ。
果てしなく広がる空。
毎朝見ていた、あの風景。
やっぱり横浜っていいな。
早く戻りたいな。
そう思ったら、白と黒の私の中で、
横浜の色がもう一度、静かに輝いた。
白と黒の中に、横浜の色を連れて✨
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