ひとりで立てると
思っていた

ひとりで歩けると
思っていたけれど
雨の朝

空に浮かんだ一文字を
じっと見つめていたら

一画目のそばに
二画目がいた

重ならない
交わらない

離れないただ
ほんの一点で
そっと触れている

あなたはあなた
私は私

それでも
その小さな接点から
ぬくもりは伝わる

悲しいときには
言葉を置き

怒ったときには
耳を貸し

何も言えないときには
ただ隣にいる

答えなど
なくてもいい

何気なく笑ったこと
何気なく交わした言葉
何気なく触れた手

そんな小さなふれあいが
尖った心を
少しずつ
なめらかにしてゆく

それが
心ならしなのかもしれない

そしてまた
心に余白が生まれる

そこへ
新しい喜びが入り
新しい悲しみが入り
また誰かのぬくもりが入る

人は
ひとりではないから
人なのではなく

ひとりであることを
失わないまま
誰かと触れられるから

人なのかもしれない

一画目と
二画目

その間にある
ほんの小さな接点が

今朝は
光って魅えた

雨の白い空に
ただ一文字



私は今日

この文字のように近づきすぎず
離れすぎず

何気なく
誰かの心に触れながら

今日という一日を
歩いてゆく。