キャリーケースを開け、
まずは中身を全部出した。

洗濯するもの、クリーニングに出すもの。
そして出しながら、
15日からまた横浜へ持っていくものを、
ちょこちょことキャリーケースへ戻していく。

でも、まず服が決まらなければ
何も決まらない。

その前に、お風呂に入ろう。
やっぱり家のお風呂はいい。
足を伸ばして、ゆっくり浸かれる。
ああ、気持ちいい。

本当なら、このままずっと浸かっていたい。
でも、お風呂から出たあとの予定を考えると、
身体が勝手に動き始める。
それでもニベアだけは忘れない。
お肌がすべすべだと褒めてもらえるのは、
きっとこれのおかげだから。

そして夜から始めるには少々大仕事だけれど、
今晩しかない。
夏のブラウスやスカートを片付け、
長袖のブラウスと
秋物のスカートを出していく。

横浜ではあんなに寒かったのに、
こちらへ帰れば、
まだ半袖でも十分なくらい暑い。
季節はいったい、どこにいるのだろう。

それでも9月中に着る服はひと通り出せた。
今晩は、これでよし。
本格的な衣替えは、
またゆっくりできる日にしよう。

明日の会社の準備もできた。
眠たい。
頭も重い。
それでも、まだ眠りたくない。

『鬼の花嫁』の続きも読みたいし、
15日から始まる
One Week Yokohama Stay、
7日分のコーディネートも考えたい。
きっと1日目を考えたあたりで、
力尽きて眠ってしまうのだろうけれど。

少しだけベランダへ出た。
夜風が頬を撫でる。
気持ちいい。
眠たくて閉じそうだった目が、
もう少しだけ開いていられるような気がした。

真っ暗な空には、
薄白い不思議な模様の雲。
そして東の空に、一粒の星が光っている。
よく見ると、
その傍らにも、もう一つ。

この星は、横浜のお部屋からも
きっと見えるのだろう。
なんだか不思議。

昨日の今頃は横浜にいた。
今夜はここにいる。
こんなに場所は変わったのに、
見上げている星は同じなのかもしれない。

今日の私は、ずっと先を急いでいた。
次。
次。
その次。
片付けて、準備して、また次の横浜へ。

けれど暗闇に浮かぶ
一粒の光を見ているうちに、
そのはやる心が、
少しずつなめらかになっていく。

急がなくても、星はそこにいる。
昨日も。
今日も。
そしてきっと、次の横浜でも。

夜風に吹かれながら星を見上げる。
いつの間にか、
「次、次、次」と走っていた心だけが、
静かに歩き始めていた。