9時からのいつもの定例会に急いだ。

8時半には出ようと思っていたのに、
気づけば10分ほど回っている。
少し焦りながら向かい、
どうにかギリギリで間に合った。

いつものように淡々と打ち合わせを済ませ、
会社へ戻る。
10時からは、もうひとつの定例会。

こちらは時折、話が長くなる。
自分の出番があるときなら、
それなりの緊張感もある。
でも今日はほとんど出番がない。
退屈だなあ。

そう思っているうちに、
だんだん、だんだん眠くなってきた。
コーヒーでも一口。
そう思ってカップを口元へ運んだ、
そのときだった。

あ。

お気に入りのブラウスの胸元に、
コーヒーのシミ。
いやだなあ。
あとでシミ取りしなくっちゃ。

会議中だから大っぴらにはできない。
おしぼりを手に、
誰にもわからないように、そっと。
ポンポン、ポンポン。
たぶん、気づいている人は気づいていた。

そんな小さな事件を挟みながら、
会議が終わったのは12時少し前。

そして、いつもの会食へ。
お弁当の蓋を開ける。
今日も和食。

はあ。
また生ものか。

昨日の昼、昨日の晩と続いて、
朝はひと休みしたものの、
またお昼に生ものが戻ってきた。
4つに区切られたうち、
刺身のところだけは残しておこう。
そのかわり、
ご飯は私の好きな炊き込みご飯だった。

一瞬、松茸かしら、と期待した。
でも、どうやらきのこご飯。
ちょっとがっかり。

それでもひと口食べれば、
そこにはちゃんと秋がいた。
殺伐とした会議の時間のあとに、
ふっと季節がほどけるような、
ほっこりとした味。

天ぷらを食べ、煮物を食べ、
だし巻きを食べる。
だし巻きは――私が作ったほうが、
ちょっとおいしいかもしれない。

そんなことを思いながら食べ終えると、
お腹はいっぱい。
そして当然のように、眠い。

14時からは業者さんとの打ち合わせ。
まだ少し時間がある。

ならば、
テレワークの間に
机の上へ育ってしまった山を崩そう。
今日は山が2つ。
全部片づけてしまいたい。

でも、全部でなくてもいい。
まずは優先順位をつけよう。
今日片づける山。
今日は残してもいい山。
そう決めれば、少しだけ気持ちも軽くなる。

そして、その山の向こう側にはもうひとつ、
どうにも気になって仕方のない世界がある。

『鬼の花嫁』
37巻まで読んだ。
続きが読みたい。
ものすごく、読みたい。
けれど――さすがに会社ではね。

ああ、若様。
その青い炎で、
机の上のこの山まで、
きれいさっぱり消してくれないかしら。