今日中に片付けておきたい仕事。
朝には山のように見えていたのに、
優先順位をつけてみれば、
ひと跨ぎできそうな土手だった。

えいっと跨いでしまえば、
あっけないほど仕事は片付いた。

少し早いけれど、
今日は家族との最後の晩餐の支度をしよう。

明日からまた1週間、横浜へ行く。
昨日は外食だったから、
今夜は家でゆっくり。
手料理を並べて、
家族との憩いの時間を楽しみたい。

横浜土産に買ってきた崎陽軒の新商品、
マグロシウマイ。
家族の好きな焼きなす、
たたききゅうり、
だし巻き卵。
そして、秋の先取りと夏の名残りを
一緒に食卓へ並べるように、
さんまの塩焼きと鱧のおとし。

さんまは腹わたも骨も取って、
きれいに開いた。
だし塩を振って焼き、
大根おろしをたっぷり添える。
ちょっと味見。
辛い。
これはきっと嫌がられるだろうなと
思いながらも、
頑張ってすりおろした証として、
ちゃんと添えておくことにした。

マグロシウマイには水を少し振り、
ラップをかけて温める準備。

あとは魚を焼いて、
だし巻き卵をくるくる巻けば完成。

食べる方が好きな私だけれど、
誰かが喜んでくれると思うと、
なんだか作りたくなる。

そしてどうせ作るなら、
盛り付けまできれいにしたくなる。

ある程度出来上がった料理を
食卓へ並べてみた。

うん。

なかなかいい感じ。

お風呂へ入る前、
ベランダに残っていた洗濯物を取り込んだ。

風が、とても気持ちいい。

ふと空を見上げる。
昼間、私が雲につけてあげた名札。

「秋」

それが風に吹かれて、
ひらひら揺れているように魅えた。

風さん。
せっかく雲さんに
つけてあげた名札なんだから、
飛ばさないでね。

名前をもらった雲は、喜んでいるだろうか。
「今はもう秋なんだよ」と、
気づいてくれた人はいるだろうか。

暮れてゆく空を眺めていると、
雲の形がふっと笑顔に見えた。
そして、その口からこぼれた言葉は――
ありがとう。