予定より14分ほど遅れて、家を出た。

これから家族の運転練習にお付き合いする。

往復1時間半ほどの道のり。
私は助手席に座っているだけ。

もう、付き添いなんていらないんじゃない?

そんなことを思いながら横を見ると、
運転は少しずつリズムに乗ってきている。
それなのに時折、急にハンドルを切る。

ひゃっ。

思わず身体が反応する。

もう十分ひとりで運転できそうなのに、
きっと家族にとっては、
まだ誰かが隣にいる方がいいのだろう。

私だったら、ひとりで気ままに走りたい。

でも、同じ家族でも違う。

それでいい。

時刻は8時17分。
もう復路に入った。

流れていく景色を眺めたり、日記を書いたり。
また窓の外へ目をやったり。
今朝あれほど自由に飛び回っていた心も、
いつの間にか
ずいぶん現実的なところへ戻ってきた。

お腹すいた。
早く朝マック、食べたいな。
あったかいコーヒーも飲みたい。

さっきまで若様の青い炎だとか、
心のグラデーションだとか、
竜に乗って空を飛ぶとか言っていたのに。

ふふっ。

でも、これも私。

そして今、何より嬉しいのは——

家族と一緒に過ごしている、この朝の時間。

昨日の夜、
「またしばらく一緒に食べる晩ご飯はお預け」
と思ったばかりなのに、
今朝にはもう、
もうひとつ小さな食卓が待っていた。

何を食べよう。
サンドイッチかな。
朝そばかな。
いや、今日はやっぱり朝マックかな。

家族は前から、
朝のハッシュドポテトが
食べたいと言っていた。

そして私は、あったかいコーヒー。

運転練習のお礼だから、
ご馳走してくれるらしい。

それも、ちょっと嬉しい。

もうすぐ着く。

さあ、ここから先は——家族と過ごす、
もうひとつの朝が始まる。