昨夜は、群青の世界にいた。
二人で奏でた時間までが深い青に染まり、
部屋の灯りさえ
群青を演出しているようだった。
その余韻を抱いたまま眠りについたのは、
1時を少し回った頃。
4時12分。
アラームより先に目が覚めた。
3時間ほどの眠り。
それでも一度も
目覚めることなく眠ったせいか、
身体は思ったほど重くない。
ただ、まだ夢と現実のあわいにいるように、
頭の奥が少しぼんやりしていた。
今日は四日ぶりに海へ逢いに行く。
外へ出ると、まだ夜明け前。
空は暗い。
でも真っ暗ではなかった。
昨夜の名残りの群青なのか、
そのもっと向こうから
今日のピンクゴールドが滲み始めているのか。
どちらとも言えない色が、
空の低いところに漂っていた。
いや、きっと両方なのだと思いたかった。
昨夜から今日へ。
群青からピンクゴールドへ。
私はその名もない「あわいの色」の中を
歩き始めた。
ポツ、ポツ、ポツ、ポツ。
傘に雨粒が当たる。
せっかく綺麗に乾いたHOKAが
また濡れちゃう。
乾かすのにキッチンペーパーを一袋使うから、
乾かし代100円。
それに消費税かな。
そんなことを考えながら濡れた路面を蹴る。
キュッ、キュッ、キュッ、キュッ。
ポツ、ポツ、ポツ、ポツ。
あら。
なんだか曲みたい。
夜明け前の伊勢佐木モールに、
私の足音と雨粒だけの
小さな旋律が流れていた。
そのとき、ふわっと頬に風を感じた。
あ、風さん。
おはよう。
今日はここで合流なのね。
どこへ行っていたの。
出かけるとき、
迎えに来てくれると思っていたのに。
——あなたより一足先に、海へ行ってたよ。
そうなんだ。
だからかな。
今朝の風さんから、
なんとなく海の香りがする。
早く行きたいな。
四日ぶりの海。
——じゃあ、ちょっとだけ早く歩けるように、
背中を押してあげるよ。
ありがとう、風さん。
背中にふわりと風を受け、
少しだけ歩幅を広げた。
どんな海が待っているのだろう。
どんな朝が広がっているのだろう。
まだわからない。
群青は少しずつ遠ざかり、
まだ見えないピンクゴールドは、
どこかで今日という朝の支度をしている。
その間を私は歩いている。
キュッ、キュッ、キュッ、キュッ。
ポツ、ポツ、ポツ、ポツ。
風さん、最後の日まで私と付き合ってね。
ちゃんと早起きしてよ。
そんなことを言いながら、
私は昨夜の群青を少しずつほどき、
まだ名前のない今日の色へ
向かって歩いていった。
群青、朝にほどける✨
勃つねで応援-
-
共有で応援