12時11分。

ほんの少しだけ眠ろうと横になり、
13時20分にアラームをセットした。

昼間なんて、
寝ようと思って寝られるものじゃない。
そう思っていたはずなのに、
大きなアラームの音にはっと目を覚ました。

なんだ、やっぱり寝ちゃっていたのか。

寝起きの頭は
まだ少しぼんやりしていたけれど、
支度を進めるうちに、
少しずつ目も心も覚めていった。

今日のスカートは濃紺。
ブラウスは今朝になって、
黒地に
雨の雫のような模様が入ったものへ
変更していた。
首元にはフリル。
以前はとてもお気に入りだった一枚だ。

それに合わせて、
ブラもショーツもキャミソールも
黒っぽいものに揃えた。
ところが、
すべて身につけて鏡の前に立った瞬間、
足が止まった。
――なんだか、暗い。

お気に入りだったはずなのに、
最近なぜか心が動かない。
好みというものも、
季節のように移ろうのだろうか。
お気に入りではなくなり、
またいつかお気に入りに戻るものもある。

ごめんね、フリルのブラウス。
でも今日は、あなたじゃないみたい。

時計を見ると13時37分。
もう出かけなければならないのに、
私は一気に着替えることにした。

最初に用意していたのは、
白を基調に縦のストライプが入った
シンプルなブラウス。
ブラもショーツもキャミソールも白へ。
そしてもう一度、鏡を見る。

あ、こっちだ。

濃紺のスカートに白。
すっきりとして、ぱっと明るい。
鏡の中の色が変わっただけなのに、
私の心まで華やいでいく。

雨の日だからこそ、
自分の中には明るい色を置いておきたい。

そんな気持ちでドアを開けると、
風さんが待っていた。

「風さん、待っていてくれたのね」
「今日はちょっと遅かったね」
「だってマツエクに行っていたのよ。
そういえば、あの時あなた、
ついてきてくれなかったわね」
ふふっと笑う。

「あのね、風さん。
黒から白に着替えただけなのに、
気分まで明るくなったの」
「濃紺と白、すっきりして似合ってるよ」
「ありがとう。うふふ」

さあ、今日も一日よろしくね。
4日ぶりの待機所。
いつもの場所は空いているだろうか。
誰かの居場所になっていたなら、
また新しい場所を探せばいい。

そして少し時間があったなら、
『鬼の花嫁』の若様の世界へ。
初めは読みにくいと思っていた
デジタルコミックも、
今ではすっかり気に入り始めている。

スマホひとつあれば、
いつでもどこでも物語の扉を開けられる。
もしかしたら、
これから新しい楽しみの扉まで
開いてしまうかもしれない。

雨の午後。
黒から白へ。
たった一枚のブラウスを着替えただけ。

けれど、その小さな選択で、
心にひと筋、明るい光が差した。

さあ。
白い気持ちをまとって、
今日という一日の続きを歩こう。

雨空に
白をまとえば
風ひかる
心の色は
われが選ばん

— Morimura