ああ、軽い。

新しいペダラで歩き始めると、
それまで足の裏に
まとわりついていた痛みまで、
どこかへ置いてきたようだった。

足が軽くなると、
不思議なもので
目に映るものまで変わってくる。

それにしても横浜駅は広い。
私が知っている横浜駅なんて、
ほんの一部分なのだろう。

知らない通路。
知らないお店。
まだ歩いたことのない場所。
行ってみたい。

でも、全部を知ろうとしたら、
きっと疲れてしまう。

だからそれでいい。
用事のある場所へ行き、
時間と心に余白があれば、
そこからほんの少しだけ足を伸ばす。

街との付き合い方も、
人との付き合い方も、
案外そんなものなのかもしれない。

そしてアイブロウサロンへ。
いつものようにお願いする。
「これから出かけるから、
キリッとかっこよく、美しく。
そして若くお願いね」

スタッフの方が、くすっと笑う。
このやり取りも、
もう小さなお決まりになった。

眉が整うと、
不思議と気持ちまで少しキリッとする。

さて。
次はどうしよう。

横浜駅から桜木町へ。

そこからホテルへ。

まだ時間はある。

さっき見つけたプロントで
コーヒーを飲みながら、少しぼーっとしよう。

今日は朝から、
探したり、
迷ったり、
人に聞いたり。

ずっと何かを考えていた頭を、
ここでいったん空っぽにする。

コーヒーを前にすると、
私の心はもう次の場所へ向かっていた。

今日、13時から逢うあなた。
先日逢ったばかりなのに、また逢える。
それだけで嬉しい。
しかも今日は、
また長い時間を一緒に過ごせる。
どんな時間になるのだろう。
そう思うだけで、胸の奥が少し弾む。

けれど私は、
これから起こることを決めなくていい。
何かを考えて準備する必要もない。
ただ、あなたの手に引かれて。

あなたが連れていってくれる時間の中へ、
私はそのままついていけばいい。

新しいペダラに包まれた足も、
きっと今日は、
その道を軽やかに歩いてくれる。

では、あなた。

後ほど。

楽しみにしています。


軽き靴
行く先知らず
風に乗り
君の手ひとつ
道しるべとす


— Morimura