長い一日が終わろうとしている。
今日という日を振り返ると、
不思議なくらいたくさんの
「ほどける」があったように思う。
カフェでひとり、ぼーっと過ごした時間。
立ち止まってスケジュールを
眺め直してみれば、
走っているときには気づかなかった
小さな間違いがいくつも見つかった。
やっぱり私は、
ときどき立ち止まらなくてはいけないらしい。
何もしない時間は、
何も生まない時間ではない。
心に余白ができれば、
見えなかったものが見えてくる。
そして再び歩き出した私の頭上には、
絵具をそのまま塗ったような
鮮烈な青空が広がっていた。
風さんに髪を揺らされながら歩いた先に、
あなたがいた。
差し出された手を取った瞬間、
今日いちばん大きく心がほどけた。
もう何も決めなくていい。
何も考えなくていい。
ただ、この手についていけばいい。
いつもなら自分で行き先を決め、
自分の足で前へ進もうとする私が、
誰かに身を委ねる心地よさを知った。
昼の鮮やかな青は、
あなたと過ごす時間の中で
少しずつ深くなっていった。
乾杯して、笑って、語って、寄り添って。
窓の向こうに夜景が灯る頃には、
私の心まで深い群青に染まっていた。
優しさに包まれるということは、
こんなにも静かなものなのだろうか。
そして、その群青の余韻を抱いたまま
次の場所へ向かった。
車窓を流れていくのは、
昼間にも歩いた街。
同じ街なのに、夜になれば違う顔を魅せる。
そして私もまた、
昼とは少し違う私になっていた。
最終章に入ろうとしている。
今日最後のドアの向こうで待っていたのは、
昨日初めて逢ったばかりのあなた。
「しばらく逢えないから、
顔を見ておかないと」
その言葉が嬉しかった。
人との距離は、
逢った回数だけで
決まるものではないのかもしれない。
昨日から今日へ。
たった一夜を越えただけなのに、
もう一度逢いたいと思ってもらえたこと。
そして今日が終わる前から、
二人で次に逢う日の話をしていること。
飲みに行こう。
ご飯を食べよう。
ホテルへ行って、
また街へ出て、
そしてまた戻ってこよう。
そんなまだ存在しない一日を、
二人で笑いながら描いた。
そうか。
今日の最後のドアは、
閉じるためのドアではなかったのだ。
その向こうには、
もう次の時間が続いていた。
一日の始まりには予定を整えていた私が、
一日の終わりには、
まだ予定表にも書かれていない
未来を楽しみにしている。
昼の青から、夜の群青へ。
そして群青のさらに向こうには、
まだ名前のない明日の色がある。
今日もたくさん逢い、
たくさん笑い、
たくさん心をほどいた。
もう十分。
今夜は時間も、明日のことも手放して、
今日という一日を静かに胸へしまおう。
風さん、おやすみ。
また朝になったら、
新しい色を探しに行こう。
群青の
余韻を胸に
扉閉じ
まだ見ぬ明日へ
風はつづけり
— Morimura
群青、次の扉へ✨
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