5時、目が覚めた。
昨夜眠りについたのは2時少し前だったから、
まだ眠り足りなかったのだろうか。
それとも少し飲みすぎたのだろうか。
ぼんやりしたままでいると、
9分後、
スヌーズがもう一度私を呼んだ。
起きなくちゃ。
昨日の午後が、まだ心の中に残っていた。
13時からあなたと過ごし、
15時には一緒にウェスティンホテルへ。
そこから22時まで、
飲んで、食べて、語り合って、抱きしめ合った。
長いようで、
過ぎてしまえばあっという間だった時間。
あなたから注いでもらった
温もりも、
心も、
昨夜の群青の世界も、
まだ私の中に静かに息づいていた。
そんな余韻を抱いたまま迎えた朝。
いつもの私のお部屋でカーテンを開ける。
建物と建物の間に、私の空が見えた。
まだ日の出前。
薄いグレーの雲が空を覆っている。
それでも雲の向こうには、
「もうすぐここから太陽が昇るよ」
と知らせるような、
淡いピンクゴールドの光が滲んでいた。
そのときだった。空に、何かが描かれている。
文字?
雲と雲の間に浮かぶ線を、目で追った。
大文字の送り火のようにも魅える。
そして浮かんだのは――妙法。
炎の色をした文字が、
するすると空に描かれているようだった。
でも、違う。
魅つめているうちに、
文字だったものが少しずつ形を変えていく。
長い尾。
左右へ大きく伸びているものは、腕ではない。
翼だ。
顔を上げ、
両翼をいっぱいに広げ、
さらに高い空へ昇ろうとしている。
その後ろには、
飛行機雲のように
キラキラと光の軌跡が残っている。
まるで炎が命を得て、
空へ飛び立ったようだった。
火の鳥――。
そう思った瞬間、
もう一つの名前が心に浮かんだ。
違う。
朱雀だ。
妙法に魅えた炎がほどけ、
翼を得て、
朱雀になった。
本当にそうだったのかなんて、わからない。
でも、今朝の私にはそう魅えた。
ピンクゴールドの薄明の中、
朱雀は大きく翼を広げ、
光の軌跡を残しながら、
もっと高く、もっと高く――。
空へ昇っていった。
私はしばらく、その姿を追っていた。
そして、なぜか思った。
追いかけてみよう。
今朝はあの朱雀のあとを追うように、
中華街まで歩いてみよう。
このときの私は知らなかった。
朱雀追いかけて開いた朝が、
いつもの横浜を、
まったく違う世界へ変えていくことを。
炎、翼を得る✨
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