朝、空に朱雀を見た。

その姿を追いかけたい——
ただその衝動のままに歩いていたら、
いつの間にか中華街へ向かっていた。

門から門へ。
立ち止まり、見上げ、考え、
心に浮かんだものを言葉に乗せる。

少し歩いてはまた立ち止まる。
もう時間がないから、
心のサンクチュアリはやめておこう。

そう思ったはずなのに、
四神の門を見たあとの胸のざわめきを、
そのままにはしておけなかった。

やっぱり行こう。

結局、朝5時半に出て、
戻ったのは9時。

なんと長いこと、
私は四神の中をうろうろしていたのだろう。
雨が降らなかったことだけが、
せめてもの救い。
けれど胸はいっぱいだった。

拾ってきたものを一つひとつ
言葉にしているうちに、
朝のオアシス時間まで胸がジンジンしていた。

そして10時を回った頃。
朝ごはんを食べ、
ひと息ついてパソコンを開いた。

あらあら、まあまあ。
どうしよう、どうしよう。

すぐに片付けなければならないことが、
三つも待っていた。

きゃー。

落ち着いて。
一つずつ。

一つ目。
依頼された作業をして、
データをまとめ、確認して送る。
終了。

二つ目。
頼まれていたファイルを
サーバーの中から探す。
どこ?
確か、どこかに置いたはず。
どこかに転がっているはず。
あった。
送信。

そして三つ目。
小さなお仕事の依頼。
これはすぐ担当者へ
振っておかなければならない。
ところが、ファイルを開けば
余計な広告に邪魔され、
名前は文字化け。
簡単なはずなのに、
なぜか一つひとつに手間取る。
冷汗たらたら。

そして13時過ぎ。
できた。

全部、片付いた。
ああ、よかった。
あと少し早くメールを見ていれば、
こんなに慌てることもなかったのに。

でも今日は14時からの出勤にしておいて、
本当によかった。

どうやら私は、
四神の門を巡る旅に
少々のめり込みすぎたらしい。

けれど、そこで私はたくさんのものを拾った。

最後に見た青龍の青。
その青は昨夜、
あなたと過ごした群青の世界と重なった。

やがて群青は静かに私の心へ染み込み、
いつしか深紅へと変わってゆく。

胸の奥で、熱を失わず燃えている赤。
それは今朝、
空に見た朱雀の赤とも重なっていた。

青龍の青から、群青へ。
群青から、深紅へ。
そして朱雀の朱へ。

朝からずっと、
色が私の心の中を旅していたのかもしれない。

とはいえ——。
お店への出勤メールまで忘れて、
催促をいただいてしまった。

ああ、いけない、いけない。
四神の世界に浸るのもいいけれど、
現の世界も忘れてはいけない。
少し反省。

さあ、ここからは気持ちを切り替えよう。
身支度を整えて、
14時からはもう一つの私の時間へ。

16時からご予約くださったあなた。
いつもありがとうございます。
また逢えることが、とても嬉しい。
ビールで乾杯して、枝豆にチヂミ、
それともソーセージ?
そんなことを笑いながら決めて、
甘く可愛いあなたと
抱きしめ合う時間を楽しみにしています。

そして19時からご予約くださったあなた。
いつもありがとうございます。
この時間にご予約くださるなんて
珍しいなと思いながら、
お久しぶりにあなたの腕の中で
甘えられることを楽しみにしています。

朝、朱雀を追いかけて始まった今日。
四神の世界をさまよい、
現の世界で冷汗をかき、
そしてこれから、人の温もりの中へ。

さあ、行こう。
次に待っているのは、
今日の新しいドア。

朱の余韻を胸に抱いたまま、
そのドアが開く瞬間を楽しみにしています。


青を追い
朱へと染まり
胸燃ゆる
現へ還り
また逢いにゆく

— Morimura