長い一日が終わろうとしている。
外では今も、激しい雨が降り続いている。
明日はもっとひどくなるらしい。
残された時間は、あと2時間ほど。
おそらく今夜は、
このまま静かな時間が流れていくのだろう。
雨音を聞きながら、
少しずつ今日を手放していく。
今日一日の物語は最終章に入ろうとしている。
振り返ってみれば、
今日の私の心はずいぶん自由だった。
雨の風景に心を留め、
そこに余情を見つけ、
もののあはれへと
思いを深めていったかと思えば、
鬼の若様の扉を開き、
青い炎に包まれながら、
胸をときめかせる乙女の私になっていた。
深く心を魅了つめる私もいれば、
無邪気にときめく私もいる。
どちらも私。
そんなふうに、
自分の中にあるいくつもの心と遊べたことが、
今日はなんだか嬉しかった。
そして一日の終わりに、
もうひとつ心に残ったものがある。
それは、人の心に触れたときの温かさ。
私が綴った言葉をどこかで見つけ、
その言葉の向こうにいる私に
逢ってみたいと思ってくださった人がいた。
まだ逢ったこともないのに、
私の言葉だけが先にその人の心へ届いていた。
それを知ったとき、
日記を書くということが、
私の中だけで
完結するものではないのだと改めて思った。
そして、まっすぐな眼差しを向けられ、
飾らない言葉を受け取るたびに、
胸の奥がジン、ジンと高鳴った。
いくつになっても、心はときめく。
誰かの優しさに触れれば嬉しいし、
まっすぐに想いを届けてもらえば照れもする。
そんな自分がいることも、
私は好きだと思えた。
そして最後には、
激しい雨の中で差し出された、
さりげない気遣い。
ほんの少し相手を想う心が、
こんなにも人を温かくする。
今日、私がいろいろなところで
受け取っていたものは、
きっと同じだったのだと思う。
まごころ。
大げさなものでなくていい。
ひと言の中にも、
眼差しの中にも、
ほんのひと手間の中にも、
まごころは宿る。
そして、それを受け取ることができる心も
また、大切にしていたい。
外ではまだ、土砂降りの雨。
けれど今、
私の胸の中は不思議なくらい温かい。
若様の青い炎とは少し違う。
もっと小さくて、柔らかくて、静かな灯。
今日いただいた
まごころが灯してくれた光なのかもしれない。
だから、
その灯を私のところで
消してしまわないようにしよう。
誰かからいただいた温かさを、
今度は私が誰かへ。
まごころから、まごころへ。
そうやって小さな灯が渡っていけばいい。
雨よ、今夜はそのまま降っていて。
あなたの雨音に包まれながら、
私は今日という一日をそっと手放していこう。
胸に残った小さな灯だけは、
大切に抱いたまま。
雨の夜
胸には消えぬ
灯ひとつ
もらった心を
明日へ手渡す
— Morimura
雨音、心の灯を包む✨
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