松茸の香りに、
秋を感じた夜だった。
けれど、
もうひとつ。
私の目を止めた
小さな秋があった。
それは、柿。
柿、と言っても、
私の知っている柿とは
ずいぶん様子が違う。
ちいさい。
本当に、ちいさい。
思わず、「これ、柿?」と、
魅つめてしまった。
長いこと生きてきて、
柿なら何度も食べてきた。
秋になれば、
橙色の実が店先に並ぶことも、
何の不思議もなく見てきた。
なのに、
こんな小さな柿には
初めて出逢った。
知っているつもりのものにも、
まだ知らない姿がある。
それが、
なんだか妙に嬉しかった。
大きな出来事ではない。
けれど、
ほんの小さな実ひとつが、
「あ、秋だ」と、
心の中に季節を置いていった。
松茸は香りで秋を告げ、
小さな柿は、その姿で秋を告げる。
季節というものは、
案外こんなふうに、
大きな声ではなく、
小さなものの中から
そっとこちらを覗いているのかもしれない。
初めて逢った、
小さな柿。
今日の心のポケットに、
またひとつ、
小さな秋をしまった。
— Morimura
余話|秋、小さき実に出逢う🍂
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