すべてを整えてから、
扉を閉めるつもりだった。
身体も、
身支度も、
荷物も、
部屋も。
けれど朝は、
思い描いた通りには始まらなかった。
目の前には、
できていないことが
いくつも並んでいた。
お風呂。
メイク。
着替え。
最後の荷造り。
部屋を整えること。
床を拭くこと。
どれも大切だった。
けれど、
すべてを抱えたままでは
前へ進めない朝もある。
そんなとき、
問われるのは、何を諦めるかではなく、
何を今、一番にするのか。
私は、
少しでも早く帰ることを選んだ。
整えられなかった部屋を残し、
朝使うはずだったものを残し、
普段の外出のように
必要なものだけを持って出た。
完璧ではなかった。
けれど、
あの朝の私には、
それが一番いい道だった。
できなかったことを
悔やみ続けるのではなく、
今できることの中から、
自分でひとつを選び取る。
その一字に、
今日の朝を託したい。
選。
迷わなかったわけではない。
それでも、
進むために選んだ。
だから今日の「選」は、
何かを捨てた印ではなく、
自分で道を決めた印。
— Morimura
一筆入魂|「選」
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