いつの間にか寝落ちしていて、
目が覚めたら、そこはもう新横浜だった。

「モリリン、ヒカリン、
起こしてくれてありがとう」
横になって眠るのとは違って、
何度も姿勢を整えながら眠っていたから、
寝たのか、寝ていないのか、
自分でもよくわからない。

それでも、少しは眠れたのだと思う。
モリリンとヒカリンを連れて、
地下鉄の改札へ向かう。
ここには、まだ風さんはいない。
風さんとは、地下鉄を降りて、
地上へ出てから合流することになるのだろう。

初めて横浜へ来たヒカリンは、
見るものすべてが珍しいらしい。
ちょこまか。
ちょこまか。
右へ行ったと思えば、
今度は左。

モリリンもすっかり探検隊気分で、
あちらこちらが気になって仕方がない。

「もう、二人とも。
そんなにちょこまかしたら大変なんだから」
そう言いながら、
私まで少し嬉しくなって、
きょろきょろ。

私にとっても、3日ぶりの横浜。
なんだか、少し懐かしい。
……って。

こんなことしていたら、
乗り換えの電車に遅れちゃうよ。
「ああ、こんなとき風さんがいたらなあ」
ちょこまか飛んでいく二人を、
ひと吹きでこちらへ押し戻してくれるのに。

そんなことを思いながら、
ようやく駅へ近づいていく。

そして。
地上へ向かうエレベーター。
この扉が開く瞬間は、
何度経験しても、少しドキドキする。

「さあ、モリリン、ヒカリン。
乗るよ」三人で乗り込む。
上へ。
上へ。
三人とも、
少しだけそわそわ。

そして——扉が開いた。
その瞬間。

ふわあっ。
やわらかな風が、
頬を撫でて通り過ぎた。
「あ」思わず笑う。
「風さん。やっと逢えたね」
地上に出た途端、
ちゃんと迎えに来てくれた。

モリリンも、ヒカリンも、
なんだか嬉しそう。
「お疲れさま」
さあ。
ここからまた、
横浜の物語が始まる。

— Morimura