身の回りを整えて、
少し早めに出勤した。
3日ぶりの待機所。
今日はそれほど長く
待機する予定ではないけれど、
それでもやっぱり、
自分の居場所だけは作っておきたかった。
ところが――。
いつもの場所は空いていない。
「ああ、やっぱりか」
ほんの少し、がっくり。
仕方なく空いている場所に
とりあえずアイマスクだけを置いて、
カーテンを閉めた。
これでひとまず、
今日の森村の居場所は確保。
待ち合わせまでは、まだ少し時間がある。
少し早いけれど、
外へ出た。
まだ18時にもなっていないのに、
季節はもう、
夏の頃とはまるで違う時計を動かしている。
夜の帳が、
ゆっくり街へ降り始めていた。
空はまだ、
群青一色には染まりきっていない。
白くもわもわとした雲がところどころに残り、
青と灰色と白が入り混じった、
少しでこぼことした色むらのある空。
でも、
なぜだろう。
今夜はその空が、
妙に心に近く思えた。
きっと今の私の心にも、
嬉しさや緊張や期待や、
いろんなものが重なっている。
だから、
こんなふうに少し色むらがあるくらいが、
ちょうどいいのかもしれない。
そんなことを思いながら、
空を魅上げた。羽織りものがなければ少し肌寒い。けれど一枚重ねれば、
風がとても気持ちいい。
ああ、
秋が深まり始めている。
季節がまた、
ひとつ先へ進もうとしている。
そして、
これもまた3日ぶりの大通り公園。
暗がりの中、
あの大きなクスノキを魅上げた。
夜へ向かう街の中で、
その木だけが、
ひと際大きな存在感を放っている。
けれど不思議なことに、
ただ力強いだけではない。
太い幹の向こうに、
どこか繊細なものが潜んでいるようにも魅える。強さの中に、
やわらかさを隠している木。
そんな姿を少しだけ魅つめてから、
私は待ち合わせ場所へ向かった。
そして――。
あなたの顔が見えた。
思わず手を振る。
久しぶり。
逢えて嬉しい。
逢いに来てくれて、
本当にありがとう。
今日、
あなたの笑顔が魅られることを、
私はずっと楽しみにしながら
横浜へ向かってきた。
あなたは、
わざわざ時間を作ってくださった。
そして、
「せっかくなら、
横浜に来た初日の最初の時間に逢いたい」
そう言ってくださった。
その言葉どおりになったことが、
私にはとても嬉しかった。
だから今日は、
横浜へ来ることそのものが
楽しみで仕方なかったのかもしれない。
二人で腕を組んだ。
そして、
少しだけデート気分で街を歩いた。
特別なことをしなくてもいい。
こうして並んで歩けること。
今日のために時間を作り、
私に逢いに来てくださったこと。
その気持ちが、
何より嬉しかった。
そして部屋へ入ると、
再会を確かめ合うように抱き合った。
あなたの温もりが伝わってくる。
ああ、
本当に逢えたんだ。
その瞬間、
今日ずっと胸の中にあったものが
すっとほどけていくようだった。
外には、
少しずつ深まっていく秋の夜。
けれどここには、
あなたの優しさと温もりがある。
そして何より、
私の大好きなあなたの笑顔がある。
その笑顔に包まれながら、
しっとりと流れていく二人の時間を楽しんだ。
秋の夜長。
これから夜は、
ますます長くなっていく。
でもきっと、
好きな人と過ごす時間だけは、
どれだけ長くても
いつも短く感じてしまうのだろう。
また次に逢える日を、
楽しみにしていますね。
そして今度は――
ジーンズで行っちゃおうかな。
そんな小さな予告を残して、
今夜の余韻を胸にしまう。
群青の
帳おりゆく
秋の街
逢えば温もり
夜を灯しゆく
— Morimura
秋帳おりて、温もりに逢う✨
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