フェイシャルエステが終わった。
鏡を見ると、
なんだか肌がワントーン
明るくなったような気がする。
目元までつやつやして魅えて、
思わずしばらく自分の顔にうっとり。
でも、そんなことをしている場合ではない。
10分後には、
いつものアイブロウサロンの
予約が入っている。
さっと身支度を整え、
急いで次のサロンへ向かった。
席に案内され、
担当してくれたのは初めて見る女の子だった。「よろしくお願いします」
そう挨拶する声も、どこか初々しい。
施術が始まると、
眉ばさみを持つ手が少し震えていた。
もしかして――と思い、
「最近入ったの?」と聞いてみた。
すると、少し恥ずかしそうに、
「9月に入ったばかりなんです。
お客様が、初めてのお客様なんです」
そう答えた。
なんだか心配になるより先に、
その姿がとても愛らしく思えた。
二十歳。
今朝、私はシルバーフォックスの記憶から、
自分の二十歳の頃へ旅をしていた。
そして今、目の前には、
まさに二十歳の女の子がいる。
不思議だなと思った。
あの頃の私も、誰かから見れば、
こんなふうに初々しく、
少し危なっかしく魅えていたのだろうか。
けれど彼女、緊張しているわりには、
眉を描くのがなかなか上手だった。
仕上がりを見て、私は大満足。
「あなた、上手ね。
頑張ってね。
今日はあなたに描いてもらって、
なんだか私までモチベーション上がりそう」
そう言うと、「ありがとうございます」と、
ぱっと嬉しそうな笑顔になった。
その笑顔に背中を押されるように、
私は迷わずJRへ。
向かう先は――味のとんかつ 丸和。
朝から何度も気にしていた、あのお店。
場所を調べ、
何度も前を通り、
自分がヒレカツを食べている姿まで
勝手に想像していた。
そして今、本当にそこへ向かっている。
ただヒレカツを食べるだけなのに、
なぜだろう。
胸がどんどん高鳴ってくる。
雨は細かなミストのように降っていたけれど、
傘は差さずに歩いた。
朝歩いたのと同じような道なのに、
今は時間も、
心模様も、
まるで違う。
足元のHOKAまで楽しそう。
キュッ、ではなく、
なんだか今は、ギュッ、ギュッ。
そんな音に聞こえる。
お店の近くまで来ると、
揚げ物の香りが漂ってきた。
普段なら、それほど好きではない匂い。
でも今日だけは別。
「ああ、いい匂い」そう思ってしまう。
店の前には、すでにひとり。
私は二番目。
前に並んでいた方が、
「11時半からだよ。ここ、
すごく並ぶから早めに来たんだ」
と教えてくれた。
やっぱり並ぶんだ。
なんだかますます嬉しくなった。
まだそれほどお腹は空いていない。
朝ごはんも食べたし、
おにぎりまで食べた。
それなのに、早く食べたい。
どんな味なんだろう。
食べた瞬間、私はどんな顔をするんだろう。
そんなことばかり考えている。
11時30分まで、あと少し。
胸の鼓動は高鳴るばかり。
果たして私は、
念願のヒレカツと対面した瞬間、
何を思うのだろう。
味の続きは、このあとで。
つづく。
— Morimura
二十歳のあなた、そしてヒレカツへ✨
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