「ねえ、ヒカリン。
今日の森村さん、
ずいぶん遅くまで頑張ったね」
モリリンが、少し眠たそうな目で言った。

「うん。今日は待機してる時間も
ほとんどなかったもんね」
ヒカリンも、
小さくこくんとうなずく。

「お仕事が終わって、
やっとお部屋に帰ってきたと思ったら、
今度は日記で大慌て」

「書きたいこと、いっぱいあったからね」

「そうそう。
楽しかった時間ほど、
言葉にして残したくなるんだよね」
ふたりで顔を見合わせる。

「でもさ、モリリン」

「なあに?」

「森村さん、もうヘトヘトだよ」

「あ……やっぱり?」

「やっぱり」

くすっと笑って、
モリリンが森村さんのほうを見た。

「今日はもう、十分頑張ったよ」
ヒカリンも、ぴょこんと隣に並ぶ。

「最初の時間も、
長く一緒に過ごした時間も、
思いがけず開いた最後のドアも、
ちゃんと今日の中に残ってるよ」

「それに、次の約束までできたもんね」

「うん。10日の楽しみもできた」

「じゃあ、今日はもう……」

モリリンとヒカリンが、
声をそろえた。

「おしまいにしよっか」

「森村さん、今日も一日おつかれさま」

「今度こそ、ゆっくり休んでね」

モリリンが、
そっと夜の灯りをひとつ落とす。
ヒカリンは、
小さなお月さまを抱えるように丸くなった。

「また明日ね、森村さん」

「おやすみなさい」

ふたりの声が静かになって、
今日という一日は、
ようやく夜の中へ溶けていった。

— Morimura