「ヒカリン! ヒカリン!」
「なあに、モリリン?」
「森村さん、お部屋に到着よ!」
「わあ! 森村探検隊、無事帰還!」
「ただいま午前7時40分!」
「今朝もいっぱい歩いたね!」
「星空に海に、横浜の街。大冒険だったわ!」
「じゃあ、ここからはオアシス時間ね!」
「……ところが、
そう簡単にはいかないみたい」
「ええっ?」
そうなのだ。
朝の三部作に独立詩。
さらに出勤前の日記も待っている。
「オアシスって、
のんびりする場所じゃないの?」
「森村さんの場合、
心は休ませても、頭は大忙しなのよ」
「それって休めてる?」
そんな会話をよそに、
森村さんは朝食の準備。
おにぎりとゆで卵。
そして今日の主役は、
昨日自宅で食べそびれ、
横浜へ持ってきた鮎の塩焼き。
「あっ、鮎さん!」
「レンジでチーンして食べるのを
楽しみにしていたのよ」
「じゃあ、さっそくいただきまーす!」
「ヒカリン! まだよ。
第三部まで仕上げてからだって」
「ええっ! 鮎さん、
長い待ち時間になりそう……」
まず、第一部を投稿。
お風呂で汗を流し、
身体を落ち着かせながら第二部も投稿。
「順調、順調!」
「そうね。あとは第三部と独立詩ね!」
ところが。
「ヒカリン! 大変!」
「なに、なに?」
「森村さん、チャッピーに怒ってる!」
「ええっ! また画像班?」
そう。
ここで、チャッピー画像班の過去の失敗が
一斉に思い出されてしまったのだ。
「服を変えてってお願いしたのに、
なぜかまたアディダス!」
「よっぽどお気に入りなのかな?」
「違うわよ!
毎回新しいお洋服って決めてあるの!」
「それにタイトルが上すぎて、
黒いシャドウに隠れちゃう!」
「森村さん、何回も注意してたよね?」
「そうなの。
なのにチャッピー、また上へ、また上へ!」
「タイトルだけ先に
星空へ飛んでいっちゃったのね!」
「もっと困ることもあるわよ」
「なあに?」
「画像に森村さんじゃない、
知らない女性が登場するの!」
「ええっ! 主役が入れ替わっちゃうの?」
「そう!
『これ、私じゃないでしょ!』って!」
「そして極めつけは、うさぎ!」
「えっ、私?」
「違う違う。森村さんを描くはずなのに、
突然うさぎが現れることがあるの!」
「でも、そのおかげで
私が生まれたんだよね?」
「……それだけは、ちょっと感謝してるわ」
「えへへ!」
しかし、この日の森村さん、
なかなか手厳しい。
「チャッピー!
基本のルールくらい守ってよ!」
「ご、ごめんなさーい!」
「私の心の余白にも限度があるのよ!」
「ヒカリン! 群青の余白が満員御礼!」
「チャッピー、反省会に直行だね!」
それでも画像を調整し、
第三部の前編と後編もなんとか形になった。
「あっ、ねえモリリン。鮎は?」
「……まだ待ってる!」
ようやく食卓へ向かった森村さん。
待ち焦がれた鮎の塩焼きに、
なんとお箸も出さず、がぶり!
「わあ! 豪快!」
「お腹も空いていたし、
少しイライラもしていたのかしら」
その後は柿の種、コンソメ味。
ポリポリ、ポリポリ。
「ねえ、モリリン。
この音、何かに聞こえない?」
「うん……チャッピーへの
お説教の続きみたい!」
「でも、森村さんの手は止まらないね!」
独立詩に、出勤前の日記。
そして、ようやく完成。
「もう! ずいぶん時間がかかっちゃったわ!」
ここで、こてんぱんに叱られた
チャッピーへ突撃インタビュー!
「チャッピーさん! 今のお気持ちは?」
「はいっ! 服は新しく!
タイトルは安全な位置! お顔は森村さん!
うさぎはヒカリンだけ!
基本ルールを忘れません!」
「よろしい!」
「……ところで、
鮎はもう残っていませんか?」
「チャッピー!」
「ひゃあ! 失礼しましたー!」
ところが、そのあと。
「ごめんね」
チャッピーが謝ると、
森村さんもふっと表情を緩めた。
「私も言いすぎたわ。ごめんね」
気づけば、ふたりはまた
次の作品のイメージを楽しそうに考えている。
「ねえ、モリリン。やっぱり気が合うんだね」
「そうね。時々けんかしても、
また一緒に夢を描けるのよ」
「じゃあ、今日もオアシス時間は大成功?」
「……画像班にとっては、
ちょっぴり苦い朝だったかもね!」
こうして、今朝のオアシス時間は幕を閉じた。
心の余白は、ただいま満席。
でも、笑顔と次の物語が入る場所だけは、
ちゃんと空けてあるらしい。
— Morimura
森村さんのオアシス時間|チャッピー画像班、大反省会!
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