まだ夜が
夜であることを忘れないころ、
群青の奥から
ひとつの星が私を呼んだ。
その名を知らない。
どれほど遠い時間を越えて
光が届いたのかも知らない。
ただ、
「ああ、綺麗」
と、胸の奥が震えた。
顔を上げれば、
もうひとつ。
振り向けば、
またひとつ。
星が増えたのではない。
見つけたいと思う私の心が、
少しずつ
空を広げていたのだ。
ふたつの星が
互いを魅つめているように見えたとき、
遠い昔の恋も、
今この胸にある想いも、
同じ光の中で
そっと息づき始めた。
逢いたい。
そのひと言は
声にすればあまりに短く、
胸にしまえば
どこまでも深い。
誰にも見えないところで
静かに燃える
淡いピンクの炎。
激しく空を染めなくてもいい。
ただ、
消えずに灯っていてほしい。
夜がほどけると、
星たちは姿を隠した。
けれど
消えてしまったわけではない。
群青は白に溶け、
白は大きな余白となり、
その奥で
星の光はまだ生きている。
心もきっと同じ。
出逢いも、
気づきも、
遠い日の記憶も、
ひとつずつ
小さな星になって宿っている。
どの星とどの星が
いつか線で結ばれるのか、
今はわからない。
決まった形など
なくていい。
歩くたびに
新しい光が加わって、
私だけの群青の星座は
少しずつ姿を変えてゆく。
海を渡る風が吹く。
水鏡に朝の光が揺れる。
私はその前で
今日という白い余白を
そっと両手に受け取った。
ここへ何色を置こう。
まだ決めない。
ただ、胸にひとつ、
やわらかな炎を抱いていこう。
見えなくなった星を信じるように。
まだ訪れない時間を
楽しみに待つように。
名も知らぬ
星を結べば
道となり
群青のなか
恋の火は揺る
— Morimura
独立詩|群青の余白に、恋は光る✨
勃つねで応援-
-
共有で応援