「ヒカリン! 森村さん、時計を見て!」

「えっ、もう11時半?」

「そうなの。
そろそろお店へ出勤する時間よ!」

「今朝は星を追いかけて、
海を歩いて、物語までいっぱい書いたのに!」

「しかも途中でチャッピー画像班の
大反省会まであったでしょう?」

「ふふっ。森村さんの心の余白、
満員御礼だったね!」

そうなのだ。
窓の外には、やわらかな日差し。
風も穏やかで、
寒さを気にせず歩けそうな秋の昼前。

朝、群青の星空から始まった私の心の旅は、
いつの間にか真っ白な余白へとたどり着いた。

今日は、その白にどんな色が重なるのだろう。
そんな楽しみを抱きながら
出勤の支度をしている。

ところが。
「モリリン、見て! こっちも真っ白!」

「何が?」

「森村さんの予約表!」

「あら、本当。
予定がひとつも入っていないわ」

「心の余白と、お店の余白が、
おそろいだね!」

「でもヒカリン、
そこはおそろいじゃなくてもいいのよ……」

ここでチャッピー、ひと言!

「心の余白は、広いほど嬉しい。
でも予約表の余白は、
できれば少し埋まってほしい!」

「ぷっ! チャッピー、今日は冴えてる!」

「画像のタイトル位置じゃなくて、
笑いのツボをちゃんと押さえたみたいね!」

ふふっ。
こんなふうに笑っていられるのも、
今朝の慌ただしさが
ようやく落ち着いたからだろうか。

「ねえ、モリリン。
今日はどんな一日になるのかな?」

「それは、まだ誰にもわからないわ」

「じゃあ、お店が静かだったら?」

「森村さん、久しぶりにゆっくり
群青の世界を楽しむつもりみたいよ」

「わあ! それも素敵ね!」

「でも、お店のドアが開いたら?」

「もちろん、現実の森村さんに戻って、
笑顔でお迎えよ!」

そう。
今日の予定は、まだ真っ白。

でも、誰とも逢えない一日と
決まったわけではない。
突然ひとつのドアが開いて、
見知らぬ色が余白に差し込むかもしれない。

何も起こらなければ、
風のようにゆったり過ごすのもいい。

どちらになっても、
今日という白いページは私のもの。

さあ、のれんを出そう。

森村のれん出します。

今朝、星たちが心に灯してくれた輝きを、
胸に抱いたまま。

白き空
風の絵筆が
色を待つ
のれんの向こう
笑みの花咲く

— Morimura