最初のドアを閉じ、
あなたとの幸せな時間の余韻を胸に、
私は次のホテルへと向かった。

外は、まだ小雨が降っていた。
でも、もうすぐ止みそう。
雨粒も少しずつ小さくなり、
空が明るさを取り戻そうとしている。

そんな雨の午後。
私の心には、
次の再会への期待が膨らんでいた。

そして、次ドアが開きました。
開いたドアの向こうには、
爽やかな笑顔がとっても素敵なあなた。

まるで、その笑顔で
私を包み込んでくださるように迎えてくれた。

「ああ、久しぶり!」思わず声が弾む。
そして私は、飛び込むようにお部屋の中へ。
すると、あなたが少し照れたような
笑顔でおっしゃった。
「僕のこと、覚えてる?」

「もちろん、覚えてるわ!」
当たり前じゃない。
だって、あれだけ心ときめく時間を
一緒に過ごしたんだもの。
忘れるわけがないでしょう。
そんなことを心の中でつぶやきながら、
私はあなたの笑顔を魅つめていた。

すると、あなたが話してくださった。
いつもネットで私の姿を見つけては、
「あ、いるな」と思ってくださっていたこと。
でも、なかなかお仕事との
タイミングが合わなくて、
逢いに来られなかったこと。
それでも、年末までには
何とか逢いたいと思ってくださっていたこと。
そして、
今日は偶然にもタイミングが合ったのだと。

「よかった。逢えてよかった」
そうおっしゃるあなた。
ああ、嬉しい。
もちろん、私だって逢いたかった。

でもね。
逢えない時間にも、
あなたの心の片隅に私がいた。
それを知った瞬間、
胸の奥がキュンと高鳴った。

逢えなかった時間というのは、
不思議なもの。
離れている間は、
お互いにそれぞれの日常を過ごしている。

けれど、ふとした瞬間に
相手のことを思い出す。
そして、また逢いたいと願う。
そんな想いが重なって、
今日という再会につながったのだと思うと、
なんだか胸がいっぱいになった。

「元気にしてた?」
「うん、元気だったよ」
「私も元気にしていたわ」
何気ない言葉を交わしながら、
ふたりで久しぶりの再会を喜び合う。

あなたの爽やかな笑顔を見ているだけで、
私まで自然と笑顔になってしまう。

そして、そっとあなたに触れた。
優しく、柔らかく。
逢えなかった時間を
少しずつ埋めていくように、
あなたの温もりを感じながら。
あなたが嬉しそうに応えてくださるから、
私もつい夢中になってしまう。

そして今度は、あなたから私へ。
差し出された手は、
驚くほど温かかった。
その優しさに包まれていると、
身体の力がふわりと抜けていく。
まるで、心までとろけてしまいそう。

あなたの温もりを全身で感じながら、
私は、こうして再び
一緒に過ごせる喜びを噛みしめていた。
そして、ぎゅっと抱きしめられた瞬間。
ああ、幸せ。
そんな言葉が、心の中に静かに広がった。

あなたの腕の中は、温かくて、優しくて。
久しぶりに逢ったはずなのに、どこか懐かしい。あのときのときめきが、少しも
色褪せずに残っていたことが嬉しかった。
艶やかな時間の中にも、
あなたらしい優しさがいっぱい。
そのひとつひとつを、
私は大切に受け止めていた。

そして、お別れの時間。
「ねえ、また年内には来てよね」
ちょっぴり甘えるようにお願いすると、
「わかったよ。ちゃんと年内に来るよ」
そう言って、
またあの爽やかな笑顔を見せてくださった。

その笑顔が、なんとも魅力的だった。
そう。私は今日、
最初にドアが開いた瞬間から、
最後にお別れするそのときまで、
ずっとあなたの笑顔に
包まれていたのだと思う。

笑顔というのは、不思議なものね。
ただ目に映るだけではなく、
心の奥にまで届いてくる。
そして、そこに優しさが重なると、
何とも言えない温かさになる。

あなたの笑顔は、まさにそんな笑顔。
逢えなかった時間を越えて、
また同じ笑顔に逢えたこと。
私のことを忘れずにいてくださったこと。
そして、次の再会を約束してくださったこと。
そのすべてが嬉しくて、嬉しくて。

ホテルを後にした私の胸には、
あなたの温もりがまだ残っていた。
そして、あの爽やかな笑顔も。

雨は、あがったところのよう。
でも、私の心の中には、
もう明るい光が差し込んでいるようだ。
逢えなかった時間さえ、
今日の喜びにつながっていたのね。

ありがとう、あなた。
今日も優しく、艶やかで、
心満たされる時間をありがとう。

次に逢えるのは、きっと年の瀬を迎える前。
そのときも、
どうかあの爽やかな笑顔で迎えてくださいね。
私も、とびきりの笑顔で
あなたのもとへ飛び込んでいくから。

また、逢いましょうね。


雨の午後
忘れぬ笑みに
また逢えて
年の瀬までの
約束を抱く

— Morimura