星は、
ひとつも持ち帰れない。

けれど、
群青鏡に映るあの宇宙から、
私は幾つもの光を受け取った。

掌には何もない。

それなのに、
心には数えきれないほどの
星が輝いている。

無一物中無尽蔵。

豊かさとは、
何かを手に入れることだけではない。

美しいと感じること。
心を震わせること。
何気ない風景の中に、
小さな奇跡を見つけること。

そのひとつひとつが、
心の宇宙に新しい星を生み出して 

そして今、
私は旅の途中にいる。

過ぎ去った七日間を惜しむでもなく、
まだ見ぬ明日を急ぐでもなく。

夜と朝、
ふたつの街、
過去と未来。

そのあわいに身を置きながら、
今という一瞬を愛おしむ。

而今。

この瞬間は、
二度と同じ姿では訪れない。

だからこそ、
今ここに吹く風を感じ、
今ここにある光を受け取り、
今ここに生きている私を大切にしたい。

そして、ふと思う。

遥か彼方の星たちは、
誰かのために輝こうとしているのではない。

ただ、それぞれの場所で、
それぞれの光を放っている。

その小さな輝きが、
遠い地上にいる私の心を、
こんなにも温かく照らしてくれた。

ならば私も、
私のいる場所で、
私らしい光を灯していたい。

ほんの小さな光でもいい。

誰かの心に、
ひとすじの温もりを届けられたなら。

一隅を照らす。

それはきっと、
特別なことではなく、
日々を慈しみ、
目の前の幸せを大切にすることから
始まるのだろう。

無一物中無尽蔵。

而今。

一隅を照らす。

三つの言葉が、
今朝の星空のように、
私の心の中でひとつにつながった。

宇宙に果てがないのなら、
心にもまた、
果てなどないのかもしれない。

そして私は、
今日という新しい空に、
まだ知らない星を探しにいく。


星ひとつ
心の隅に
灯しつつ
而今の光
一隅照らす

— Morimura